座り仕事で滞った、骨盤の血の巡りを良くしよう


また、膀胱や子宮などを支えている骨盤底筋のトレーニングも有用です。

「骨盤底筋は尻尾を振る時に使う筋肉で、進化の過程で上手に動かせなくなりました。しかも、骨盤底筋トレーニングは地味で続かない人も多い。

また、膀胱は筋肉なので、加齢で硬くなり、膣も萎縮します。膣が萎縮し硬くなると、横にある膀胱にも影響します。硬くなる原因の1つは血流。座り仕事なども血流を滞らせます。骨盤の血流を良くするためにも、体幹を鍛えるのがおすすめ。毎日1駅余計に歩いてみるなど、できることから始めてみましょう」(野村先生)

ただ、骨盤底筋を自力で動かせないとなると、代用する何かが必要です。そのために必要なのが「行動変容」だといいます。

「尿もれでは、膀胱充満感や尿意を自覚して、ある程度以上溜めずタイミングよくトレイに行く、水分を取りすぎない、利尿作用のあるくだものや生野菜はほどほどにするなど、自分でコントロールすることが重要で、これも立派な行動変容。先ほどの『1駅歩く』なども行動変容の1つです。コロナ禍に対応して行動変容したように、行動を変えることは予防につながります」(野村先生)

 

といっても、漏れないように早めにトイレに行けばいいというわけではないので、そこは注意が必要。

「膀胱は筋肉なので、筋肉は適度にのばしてあげないと、萎縮して小さい膀胱になってしまいます」(野村先生)

生活の中で自分にとってちょうどいい加減を見つけていくことが大切なようです。

 


最近はカラダに優しい手術も登場


それでもうまくいかなくて、一生尿もれと付き合うなんてイヤ! というときは、きちんと受診するのが◎。

尿もれの手術は最近カラダに優しいものが開発され、15分程度で終わるそう。しかもお腹を切らずに、術後3時間で水分が取れ、翌日に退院できるほど進化しているようです。

腹圧性尿失禁は、出産年齢から徐々に増加し更年期以降も80代以上まで幅広い症状です。女性の3~4人に1人は経験しています。

一生付き合わなくてはいけないの?と疑問に思ったら、まず自分でできることから始めて、いざとなったら医療に頼る。

命にかかわる病気ではないけれど、地味に不快な症状をガマンする必要はありません。
快適な生活のために、1つずつ不安を取り除いていきましょう。

野村先生直伝 尿もれ対策のためのセルフケア
・体幹(インナーマッスル)を鍛える
(歩く、泳ぐなど全身運動)
・骨盤底筋を鍛える
・尿もれには、吸水ケア製品を使用する
・くだものや生野菜を過剰に摂取しない
・尿を溜め過ぎない
・トイレに頻繁に行き過ぎない
・デリケートゾーンを洗い過ぎない。不潔にしない。

構成/佐野倫子
 

 

前回記事「「尿もれをなんとかしたい...」話題のフェムテックギアで始める骨盤底筋トレーニング【おすすめ4選】」はこちら>>

 
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