ビールには高額な酒税がかかっていますから、私たちが購入するビールの値段のうち、25〜30%は税金として徴収されています。他の食品と比較すると税金がコストの大半を占めますから、円安の影響を受けにくい商品と言えますが、それでも原材料の多くは輸入品であり、ここまで円安が進むとやはり経営が苦しくなるという仕組みです。

家電やAV機器といった製品の場合、中には様々な部品が入っていますから、どれだけ輸入に頼っているのか直感的に理解することは困難です。使用されている部品や製造過程などを総合的に分析すると、一般的な家電製品の場合、約30%が輸入に依存しています。

写真/Shutterstock

テレビになるとその比率がさらに上昇し、約35%が輸入で成り立っています。テレビの場合、中に入っている部品はもちろんのこと、生産全体を海外に依託し、日本企業はただ輸入しているだけというケースもありますから、こうしたケースでは輸入依存度100%です。

かつては多くが国産品だったパソコンやスマホも、今では海外依存度が高い製品に分類されます。パソコンの基幹部品のほとんどは海外製ですし、スマホに至っては製造についてもほとんどが海外です。円安になった分だけ、仕入れ価格が上昇しますから、企業は値上げしないと利益を確保できません。

 

工業製品で輸入に頼らないものを探すのは困難ですが、食品であれば、コメ、じゃがいも、鶏卵、清酒など依存度が低い商品もあります。野菜も一部の商品を除くと多くが国内産です。一方で、日本らしい食材と思われがちな魚介類の輸入依存度は意外と高く、直接的な輸入品に加え、船の燃料やパッケージなど、多くが輸入によって成り立っています。
 
お酒をビールやワインではなく日本酒にして、コメとジャガイモ、地域で採れた野菜を食べていれば、円安の影響を受けにくい生活が送れます。さらに円安が進むようであれば、可能な限り国内産に切り換える工夫も必要となってくるかもしれません。

 


前回記事「日本で男女の賃金格差が埋まらないこれだけのワケ。企業の開示義務化でどう変わる?」はこちら>>

 
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