「犬と子どもを黙らせろ」


在宅勤務が始まってから、アキコさんとご主人の間で小さな言い合いが増えるように。

アキコさん一家は1LDKのマンションにお住まいで、ご主人のテレコンが始まると強制的に寝室に娘さんとワンちゃんと引きこもらなければなりませんでした。さらには、娘さんが寝静まった夜もご主人はリビングで仕事をしているため、真っ暗な寝室で、ただじっとしていなければならないことが多々あったそう。

アキコさんはそのことで不満を言ったり、またご主人がアキコさんの家事や食事について文句を言ったりなど、家の中の雰囲気はどんどん悪化。

 

そんな生活を続けるうち、ご主人が決定的な一言を口にし、アキコさんに我慢の限界が訪れました。 

「うちのポメラニアンは、インターホンが鳴るとどうしても吠えてしまう癖があるんです。娘もまだ小さく、暇を持て余したり何か思い通りにいかないと愚図ることも多くて。そんなとき、夫にこう言われたんです」

ーーうるさい! いい加減にしろ! 犬と子どもを黙らせろ! そんな躾もできないなんて、お前は本当にデキない母親だな!!

 

終わりの見えないコロナ禍でこの罵声を聞いたとき、アキコさんの中で何かが砕けたそう。この一言が皮切りになり、夫婦喧嘩のレベルは一気に上がり、怒鳴り合いやお互いを罵ることが日常となってしまったのです。

「夫婦喧嘩が激しくなってから、おそらくストレスで酷い不眠症になってしまいました。慢性的な寝不足で昼間も疲れやすく、目眩を起こしたり。でも夫の態度は変わらないし、ずっと戦闘状態。娘が怯えて泣くことも何度もありました。

そして、とうとう疲れ果てた私が『しばらく家を出て行って』と言ったんです」