免許返納については、年齢だけではなく、全体的な能力で判断が必要



山田:やはり、高齢のドライバーが安全に運転を続けられるかという懸念を、ご家族から相談されることが多いですね。
70歳以上の方が運転を続けていると、命に繋がるような事故を起こす確率が高いことはよく知られた事実です。ですので、高齢の方が事故を起こすのではと心配されるのは、データから見ても妥当であると言えます。

碓氷:なるほど。でも同じ75歳といっても、すごく元気な人もいれば、体が動かない人、反応が鈍い人もいますよね。

 

山田:そうですね。年齢だけで運転ができないと判断するのは、明確に間違いだと言えます。一方で、高齢の方の事故の確率が高いこともよく知られています。ですので、トータルな能力で判断する必要がありますね。

たとえば、個人の認知機能、手足を使う機能の衰え、視覚や聴覚の衰えなど……。色々な要因が重なって運転の能力が落ちていくので、年齢だけでは判断できません。

碓氷:ちなみに日本の場合、75歳以上の方の免許更新の際には認知機能検査が必要で、高齢者講習もあると聞いてます。アメリカではいかがですか?

山田:そうですね、州によって大きく異なります。一定以上の年齢の方に試験を課していたり、年齢によって試験の頻度を変えるという対応をする州もあります。

ですが、その法律によって死亡事故が減ったと報告しているデータがある一方で、死亡事故の減少には繋がっていないと報告するデータ、免許を取り上げたことによるマイナス面を検討したデータもありますので、注意が必要です。

多くの人から免許を奪ったことで、逆にうつ病の報告・自殺率が増えたこともあります。免許を取り上げれば事故が減って万歳かと思いきや、何事にも必ず副作用があるのです。