“ちょっとしたこと”を共有できるパートナーが欲しい


「久しぶりに会った夫は、最初は私と目も合わせてくれないほど怒りに満ちた様子でした。義母や娘とは普通に喋るのに、明らかに私を避ける。ただ義母曰く、『息子も離婚する気はないのよ』と仲を取り持とうとしてくれたので、週末に少しずつ会うようにしていきました」

このとき、アキコさんは音信不通になったご主人を責めたい気持ちで山々でしたが、グッと堪えて辛抱強くコミュニケーションをとることに徹したと言います。

というのも、まだ娘さんも小さい状況で、アキコさんにとっての1番の幸せは「家族で仲良く平和に過ごすこと」と判断したから。

「改めて考えると、私にとって“父親の不在”は本当に辛いものでした。娘は当時4歳でしたが、例えば文字を読んだり書いたりできるようになること、面白い話や行動をしたりなど、ちょっとしたことを共有できないのが悲しくて。私と夫の関係が壊れていた時も、彼は娘に対しては良い父親だったので、一緒に子育てができる人がいた方がいいと思いました」

 

また、ご主人の様子を見て、彼がアキコさんが提案した別居によって想像以上に深く傷ついていることにも気づいたそうです。

 

ようやくご主人がアキコさんと二人きりの話し合いに応じた時、彼は意外なことを口にしました。

「夫は、私がいつもイライラして高圧的だったのが恐かったと言いました。また家計を支えるために必死で仕事をしているのに、家の中で邪魔者扱いされ感謝もされなくなったことが本当に限界だったとも……もっと驚いたのは、娘を可愛がるのはいいけど、自分にももっと意識を向けて欲しいと目を赤くしながら言ったんです。要は、信じられないんですけど、音信不通の1番の原因は『拗ね』だったんですよ……」

前編で伺ったお話の印象では、「イライラと高圧的」だったのはご主人の方。しかしながら、夫婦それぞれ見えている景色がまったく違うことに驚かされます。さらに「拗ね」ていたとは、夫婦とはいえ男女の心理は複雑です。

「もちろん私にも言い分や反論は山ほどありましたが、気持ちを飲み込んで、まずは夫を受け入れました。すると彼の態度も和らいで、ある日突然『家に戻ろうかな?』と別居は解消されました」