「もったいない」が口癖の人は、お金を遠ざけている

 

先日、相談に来た自営業の内田洋平さん(仮名•52歳)から、挨拶もそこそこに、いきなりこう切り出されました。

「ウチの奥さん、ティッシュが捨てられないんです。テーブルを少し拭いたり、鼻噛んだりしても捨てずに、まるめて放置。翌日乾いてからまた使います。もったいないのだそうです。だから、家中に使いかけのティッシュが置いてあります。ほかにも、スーパーのビニール袋やデパートの紙袋がたくさん。しまうのも面倒で台所に散乱し、玄関にはビニール傘が何本も。家は片付かないし、お金も貯まりません。なんとかしてください!」

さすがの私も、ティッシュペーパーの再利用は初耳でした。でも、始末できないスーパーのビニール袋やビニール傘が玄関にたくさんといったご家庭は珍しくありません。
コロナ禍では、使用済みのマスクを、捨てずに大量に持っている人もいそうです。

そんなご家庭のこういった習慣がいずれも、お金が貯まらない人の共通点であることはこれまで書いた通り。実際、内田さんはお金が貯まらないとご相談にきたわけですから。

 


過度の「もったいない」精神は、かえって貧乏になる

 

では、なぜ、もったいないと消耗品も捨てられないくらいなのに、お金が貯まらないのでしょうか?

そもそも、もったいない(勿体ない)とは、「勿体」(重々しい、威厳さ)がない=妥当ではない、不届きである、という意味で用いられる言葉だったそうです。それが今では、粗末にするには惜しい、おそれ多い、ありがたいなどを表現するときに使われます。

私も子どもの頃、何かを捨てようとするたびに、明治生まれの祖母が、「もったいない、もったいない」と呪文のようにつぶやいていたのを覚えています。

もちろん、モノを大切にし、もったいないと感じる美しい心は、日本人ならある程度は持ち合わせているもの。それを否定するつもりはありません。