年上だろうと年下だろうと、素直に聞いて受け止める


 面白い人って、肩書がなくても惹きつけられるんですよ。若いころ、名刺交換会みたいなことをやらされるのが本当に嫌いだったんだけど、つまらない人から何をもらったって記憶に残らないし、あとで捨てるだけ。形ばかり売り込んで、物欲しそうなことをする前に、まずは自分の魅力を磨かないといけないと思います。ただまあ、50代になると、お金を出さなきゃ若い人はつきあってくれない。

大草 シビアですね。でも、悲しいかなそうなりますよね。

 そりゃそうでしょう。私だって目上の方とお食事するときはご馳走してもらうこともありますけど、それと同じで、私より若い人をつきあわせてお金を出させるなんてことはできませんよね。それでも、若い人たちと話をすることは私にとっていい刺激になるし、勉強にもなりますから。そうして、いい頃合いになったらお会計だけしてさっと帰る。これが鉄則ですね。

大草 カッコいいですね……。私は、人見知りというほどでもないのですが、引っ込み思案なので、これまでパーティーや会合のたぐいにはあまり出席してなかったんです。情報過多になりすぎると疲れてしまうし、三人の子供を育てながらフルタイムで働いていると、とにかく時間がないというのもありました。でも今、ちょっと立ち止まってまわりを見渡してみることも大事なんじゃないか、と思い始めたところなんです。自分の信じる道を邁進してきた自負はあるけれど、その道からはずれた場所にあるものにも、目を向けてみたくなった。だから、最近はいろんなお誘いも受けるようにしています。

 
 

 お誘いを受け続けていると、血糖値とかあがっちゃうけどね(笑)。私が、食に対する好奇心が強すぎるというのもあるけれど。でもやっぱり、人と会って話を聞くのは大事だなと思いますね。大草さんのおっしゃるように、自分の道を貫いてきたからこそできることもあるけれど、できないことのほうが多いから、困ったときはやっぱり専門家を頼るしかない。私には太刀打ちできないセンスや知識をもった方の言うことは、年上だろうと年下だろうと素直に聞いて、受け止めるのがいちばんです。

大草 今なお他人の言うことを素直に聞ける、というのがいちばんすごいと思います。

 ただまあ、私の気力と体力は並外れているらしいので(笑)。いまだに新しいことに挑戦できるし、そのためには人の言うことも聞こうと思えるんじゃないでしょうか。大草さんは、何か新しく挑戦したいことはありますか?