職場の飲み会で消えた夫。その衝撃の理由とは?


職場結婚した真弓さんと夫・良平さん。交際期間は1年、比較的すんなりと結婚することになったといいます。「離婚の原因になった価値観の違いには、当時気がつきませんでしたか?」と踏み込んでみました。

「それが、全く気が付かなかったんですよね。でも、出会った時は二人とも本社で同じプロジェクトについていたこともあって、1日のうちに顔を見ている時間は長かった。それで彼のことをよく知っている気になっていたと思います。実際には、家族になってみないとわからないことってありますよね。例えば家計を同一にして初めて、彼はとても……ケチだということに気がつきました。

でも1回だけ、思い当たることが……。職場のチーム飲み会で、上司が話題のお店に連れていってくれたことがあるんです。最初は全部奢り! と言っていたんですが、それは申し訳ないのでもちろん私たちも出します、と。そしたら飲み会の最中に彼が急にいなくなって。まさかの、そのまま帰ってきませんでした。翌日、みんなが心配したよ!? と言うと、とぼけていましたが、後で二人きりになった時、定食屋でご飯食べて帰ったっていうんです。もしかして、小洒落たバルで、おそらく5千円以上になるお金を出すのが嫌だったのかな? と感じました」

真弓さんと良平さんは、某大手メーカーにお勤めで、特に良平さんは博士号を持つ技術職のため十分な収入があります。また技術職の勤務地は、本社以外はかなり郊外の研究所になるので、社宅制度があり、家賃は大変な格安だったそう。

そのため、結婚して二馬力になれば、パワーカップルと呼ばれても不思議はない共働き世帯です。したがって、真弓さんは結婚の際にお金についてはあまり心配しなかったといいます。

 

「結婚して、研究所近くの社宅で生活をスタートしました。でも、本社勤務の私の通勤時間は1時間半近く。なので、子どもができたら中間地点にマンションを買おう、そのお金を貯めるための社宅だと考えていました。

そして数年後、妊娠した時に、保育園探しを考えると妊娠期間中に物件を探した方がいいかなと考えて、夫に提案したんです。すると彼は、顔を真っ赤にして突然怒り出しました。『社宅があるのにマンションなんか買うはずないだろ! 定年までここに住む。無駄な金払うなんてお前馬鹿なのか?』って。

でも、繰り返しますが、その社宅は私の勤務地からは遠すぎましたし、築40年の団地で、駅からもバスで20分。ワーキングマザーになって、親の助けもなく仕事と両立するには無理があると思いました。何より、せっかく結婚して自分の家庭を持ったのに私の希望は一切聞かれず、その家にあと30年もボロボロの社宅に住むと決め付けられてショックでした」 

 

それでも真弓さんは、「俺の方が激務だし、稼いでいるんだから」という本音が透けて見える良平さんとそれ以上正面から争うのを避けて、保育園も社宅の近くで探したといいます。

このように、共働きで、一見対等な夫婦は昔よりも増加しています。しかし、まだ「収入の多い方の都合が優先」「家事育児も収入に応じた配分」という具合に一方的な平等を押し付ける人もいます。ちなみに、この頃まで真弓さんと良平さんの「共同生活費口座」には、同額ずつ入れていたそうです。技術職である良平さんの収入は、事務職の真弓さんの1.5倍ほどもありましたが、同じ会社で働く対等な夫婦という建前で押し切られました。

「彼は、だいぶ手元に現金が残ったはずです。そればかりか、共同口座から時折お金を下ろしているのも知っていました。でも、私もあまり細かいことは言いたくなくて、見て見ないふりをしていたんですよね。とにかくお金のことなんかでギクシャクするのが嫌で逃げていたんです。でも、子どもが産まれてからもちょろまかしていくので、それじゃあお金が貯まらないと思い、お小遣い制を提案しました。

でも、そこからが地獄の始まりでした」