骨密度検査を受けられる施設と費用の目安

 

骨密度検査にはDXA(デキサ)法、MD法などいくつかの種類があります。なかには超音波を利用する検査もありますが、正確に測定するならレントゲンによる検査がおすすめです。検査の結果、YAM(ヤム)値90%未満(正常低値)なら、念のため「骨代謝マーカー」を調べて骨量減少リスクの確認をしておくとよいでしょう。骨代謝マーカーとは、骨の新陳代謝の状態を知る指標となるもので、保険診療では治療の効果判定に使用されています。

<検査を受けられる施設と費用の目安>
・骨密度検査
 検査施設:健康診断、人間ドック/総合病院/整形外科、婦人科
 検査費用の目安:1500~5000円

・骨代謝マーカー
 検査施設:一部の人間ドック、整形外科、婦人科、内科など
 検査費用の目安:1500~5000円

 

骨密度検査の間隔は?


女性の定期的な骨密度検査は「65歳以上から」が推奨されています。しかし、骨密度は若年期にピークを迎え、40代半ばからは骨量の減少が始まります。そのため理想的には、
① 40代半ばまでに1回測定
② 周閉経期~閉経以降は毎年1回以上測定

が望ましいと考えられます。

40代半ばですでに骨密度が下がっていたら、ライフスタイルの積極的な改善(食事内容の見直し、定期的な運動習慣など)が必須です。場合によっては医療機関での管理が必要になります。なお、健診施設などで検査した結果、骨密度の値は正常範囲でも、値が年々下がっているようなら要注意。経年的な変化を注視しましょう。YAM値80%未満、骨代謝マーカーで異常が確認されたら婦人科か整形外科の受診をすすめられると思います。また、受診後の経過で測定値の変化が顕著なら、医師に年2回の骨密度検査をすすめられるはずです。

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骨密度の減少スピードは、60代頃ピークに達します。ちょっとしたことで骨折する人が増えるのがこの時期です。何の対策もしないまま70代に入ると、背中が曲がり見た目も急に老け込みます。骨の健康と密接に関係する、脳梗塞や心筋梗塞になる人も増えます。閉経を機に変化していく体をしっかりマネジメントして、これからも毎日を楽しく健康に過ごしていきましょう。

著者プロフィール
吉形玲美(よしかた・れみ)さん

医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性医学学会 代議員・認定専門医、日本更年期と加齢のヘルスケア学会 理事。専門分野は婦人科、女性医療(更年期医療)。東京都出身。1997年東京女子医科大学医学部卒業後、同大学病院産婦人科学教室入局。産婦人科医として医療の最前線に立つかたわら、女性医療・更年期医療の臨床研究にも数多くたずさわる。2002年より同大学病院婦人科の更年期専門外来を担当。更年期症状で悩む女性たちを20年にわたって診療し続けている。現在、浜松町ハマサイトクリニック婦人科専門医、東京ミッドタウンクリニック特別顧問、東京女子医科大学病院産婦人科非常勤講師。

『40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』
著者:吉形玲美 講談社 1650円(税込)

長年にわたり更年期症状で悩む女性を診察してきた産婦人科医が、「女性ホルモンのコントロール」と「骨強度マネジメント」の2つを柱に、閉経後も元気に過ごすための秘訣を解説。40代以降の女性のライフステージを「プレ更年期」「更年期」「ポスト更年期」の3つに分け、それぞれのライフステージで何をすればいいのかを丁寧に教えます。閉経前後の年齢の方はもちろん、60代、70代の女性も知っておきたいからだの知識や対処法が満載。



イラスト/まつやましょうこ
構成/金澤英恵