地方移住にかかる費用を事前に算出するのは不可能!?


地方移住に際して「お金」は1、2を争う不安材料ではないはないでしょうか。必要最低限の経費を事前に算出しようと、書籍やウェブサイトで情報収集している人も多いと思いますが、宇都宮さんは「このような情報にはあまり意味がない」と断言します。

「移住なのだから引っ越しを行うのは当たり前で、そこに掛かる経費は距離や荷物量などによって大きく変化する。また家を買う、借りるといった費用も、当然ながら土地や物件によって大きく異なる。移住後に住居回りの設備や庭、ガレージをどう構築していくか、においても、極力費用を抑えようと思えば抑えられるし、その逆も無限に自由だ」

居住空間に掛かる金額は本人の心持ち次第といったところでしょうか。では、光熱費など本人の意思ではなかなか自由に変えることができない出費についてはどうでしょう? 

「田舎暮らしはプロパンガスが多いから都市ガスより高いとか、下水道料金が余計に掛かるなんていうのも一概に言えるものではなく、地域ごとに事情は大きく異なるし、都市周辺でも料金はまちまちだろう。田舎では自治会費が掛かるなどという言説も見受けられるが、筆者の場合、年に千円ちょっとだ。DIYの工具は揃えなくても生きていけるし、雪かきの道具や車にしても地元で中古の品を安く調達したり、少しの間は我慢してお金に余裕ができれば購入するという考えでもやり過ごすことはできる」

 


パターン化できる経費など存在しない


どうやら最初からすべてを実現させるのではなく、その時々の家計に合わせて生活のスケールを変えることが重要なようですね。宇都宮さんはお金の問題について、以下のような結論を導き出しています。

 

「要はパターン化できるような移住特有の経費など存在しないのだ。どこに移住し、なにをするか、移住後に贅沢するか、節約するかで費用はいかようにも変化する。お金はないよりはあったほうが安心だが、これ以上ないと移住できないというボーダーラインなんて、実は存在しないのだ」。