エクオールを「サプリ」で摂る場合

 

エクオールサプリメントの摂取目安量は、1日あたり「10mg」です。これはイソフラボン25~30mgに相当します。

なお、イソフラボンをサプリメントなどの特定保健用食品から摂取する場合、国の食品安全委員会は、一日あたりの上限を「30mg」と定めています。上限値を超えてもただちに健康被害に結びつくものではないとされていますが、大量のイソフラボンの長期間摂取は子宮内膜を増殖させる(=子宮体がんのリスクとなる)という研究があります。エクオール以外のサプリメントなどを摂取する際は、イソフラボンの過剰摂取にならないよう注意しましょう。

 

もっと知りたい、エクオールサプリメント


エクオールは栄養素の一種で、女性ホルモンではありません。また、エクオールサプリメントは「栄養補助食品」に分類されており、薬ではありません。医療機関での受診や医師の処方箋は必要なく、ドラッグストアや通信販売などで誰でも購入できます。大豆アレルギーがなければ副作用の心配もほとんどありません。

なお、サプリメントは下図のように分類されます。

 

このうちエクオールは「症状対策サプリメント」に位置づけられると筆者は考えています。症状対策サプリメントとは、特定の症状を改善する目的で用いられるサプリメントのことで、医薬品の代替として用いられたり、医薬品と併用されたりするものです。

わが国はその医療制度から「病院にいけば保険で薬を処方してもらえる」という意識が根づいていますが、欧米各国は必ずしもその限りではありません。医療費が高額になりやすいことから、セルフメディケーションとしてエクオールのような症状対策サプリメントの活用も一般化しています。

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エクオールサプリメントの摂取による更年期症状の緩和は、エクオール産生能がある人にもない人にも同等に認められています。食事からの摂取だけでエクオールが働き始める人でも、食生活が乱れがちなときは、臨機応変にサプリメントから摂取するのもよいでしょう。

著者プロフィール
吉形玲美(よしかた・れみ)さん

医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性医学学会 代議員・認定専門医、日本更年期と加齢のヘルスケア学会 理事。専門分野は婦人科、女性医療(更年期医療)。東京都出身。1997年東京女子医科大学医学部卒業後、同大学病院産婦人科学教室入局。産婦人科医として医療の最前線に立つかたわら、女性医療・更年期医療の臨床研究にも数多くたずさわる。2002年より同大学病院婦人科の更年期専門外来を担当。更年期症状で悩む女性たちを20年にわたって診療し続けている。現在、浜松町ハマサイトクリニック婦人科専門医、東京ミッドタウンクリニック特別顧問、東京女子医科大学病院産婦人科非常勤講師。

『40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』
著者:吉形玲美 講談社 1650円(税込)

長年にわたり更年期症状で悩む女性を診察してきた産婦人科医が、「女性ホルモンのコントロール」と「骨強度マネジメント」の2つを柱に、閉経後も元気に過ごすための秘訣を解説。40代以降の女性のライフステージを「プレ更年期」「更年期」「ポスト更年期」の3つに分け、それぞれのライフステージで何をすればいいのかを丁寧に教えます。閉経前後の年齢の方はもちろん、60代、70代の女性も知っておきたいからだの知識や対処法が満載。



構成/金澤英恵

 

 

「何もしないとリスク上昇! 閉経後の「骨粗しょう症」を防ぐ、40代から始める「骨強度マネジメント」」>>