男女の賃金格差と雇用格差がなくなるだけでも、友達の原野は倍になる​


そしてご存じの通りの男女格差問題です。日本では収入も雇用形態も社会的な地位も、圧倒的に女性の方が弱い立場にあります。先述の友人はしっかり稼いで自立している女性なので、一緒に旅する男性もお金に気を使わなくて済みます。どちらかが払ってばかりという関係ではないので、二人の間に権力の勾配(上下関係)が生まれにくいのも、いい関係を持続できる要因でしょう。
階層化が進み、かつ男女の賃金格差と雇用格差が大きい社会では、対等な友人になりうる対象が、同程度の年収の同性に限定されてしまう。単純に言えば、男女格差がなくなるだけで友達の原野の面積は倍になります。

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しかし友達作りを阻むものはそれだけではありません。心のバリアをはずすこと、そしてバイアスを取り除くことが何より肝心です。
新自由主義的な勝ち組礼賛と自己責任論が持て囃されるような現状では「人に弱みを見せたら負け」という不安が非常に大きいですよね。弱みを見せることを怖がっていたら、誰とも打ち解けられません。肩書きや学歴、年収を比べることが習慣になっていると、人と近い関係になるとすぐに嫉妬や劣等感に苛まれることになります。自己防衛のマウンティングをしてしまったり。そんな人、友達になりたくないですよね。さらに異性間ではこれに「女(男)に舐められたくない」「男は優位に立つべき」「女子は男子をケアするべき」などのジェンダーがらみの思い込みや面子が加わるので、余計厄介です。

 

日本社会に染み付いた万物性愛変換思考や根深い男尊女卑は、友達の原野を分断する大きな要因です。だいぶ変化したとはいえ、「男が奢るもの」「割り勘させる男は最低」「二人で飲んだらセックスOK」「女は若さ、男は稼ぎ」と考える人はまだまだいます。そんな目で異性を見ていたら、対等な友達にはなれないでしょう。何よりも、相手への敬意なんて生まれませんよね? そう、友情において最も大切なのはリスペクトですから!