もちろん丸っと4週間旅行に行く人もいると思いますが、私が知る限り多くの家庭は、それぞれの実家に行って2週間ぐらいを過ごし、その後2週間ぐらい旅行に行く、という感じ。その旅行も、ホテルではなくジット(Gîtes)という農家や民家の一部を貸し出している、お値段リーズナブルな貸し別荘的宿に泊まって自炊したり、友人の別荘を借りる(もちろんタダで)など、あらゆる節約を試みます。フランス人の旦那さんがいる友人は去年、2週間ずっと自転車で移動し、宿泊はキャンプというヴァカンスに出ていたなあ……。

我が家も当然自炊派! 旅先のマルシェで新しい食材を眺めるのも楽しいです。

ちなみに今年は、フランス人の74%がヴァカンスに旅立ち、その2週間の平均費用は1806€(約25万円)なのだそう。フランス人家庭は子供が3〜4人いるのが珍しくないことを考えると、それほど多くないですよね?

 

もうひとつフランスの夏休みを目の当たりにして変わったのが、旅先での過ごし方。日本人は1週間の休みでも、アクティブにあちらの都市、こちらの街と駆け巡ったりしがちですよね。対してフランス人のヴァカンスは、大抵同じ場所にずっと滞在し、なんなら一日中本を読んだりして、のんびり過ごすことが多いです。私も昔は、初めての旅先だとあれこれ名所巡りをしていましたが、自宅に戻ると休暇前よりよっぽど疲れている自分に気がつきまして。

南イタリアで見かけた猫。暑いので、猫ものんびりだらだらしてました(笑)。

休暇と言うのは休むためのものなのだから、のんびりして良いのだーーフランス人の休み方は、そんな根本的なことを教えてくれました。アクティブに巡る派の方もぜひ次の休みは、いつもとは違う空間で、何の計画も立てず、遅い時間に起きて、美味しいものを食べて過ごす時間という贅沢を試してみてほしいなあと思うんです。

我が家は4年前、南イタリアに滞在した際、毎日のんびりしすぎて海外ドラマ『ブレイキング・バッド』を見始めたら止まらなくなり、翌朝まで完徹して観たという思い出があります(笑)。でも、そんなしょうもない思い出はすごく心に残っていて、あの時は本当に楽しく、のんびりしたなあって気持ちが蘇るのです。

南イタリアのプーリアでは、ほぼ毎日自炊していました。レストラン食ばかりだとどうしても身体が疲れますが、自炊メインなら長期旅も快適です。

それにしても、日本ももう少し休みを取れるようになるといいですよね。フランス人は個人主義なため、「有給を使って休むのは当たり前」と考えて憚らない→皆休む→会社もそれを了承して休む、という流れが20世紀前半にできたらしいです。でも20世紀前半って、割とつい最近のことじゃないですか! 

であれば日本でも、皆がもっと声を上げて自分の休みを尊重していくことはできるのでは……! と思うのですが、やっぱり難しいのかしら?
 

撮影/Yas