NMN、人間の臨床試験の結果は？安全性は？【医師の解説】
健康なボランティア10人にNMNを投与するという小さな研究では、安全性が確認されました。
けれど、たとえばコロナのワクチンでは、皆さんに打っていただく前に５万人規模の研究をいくつも行いましたよね。その上で、安全で有効であるということがわかり、はじめて「皆さん使いましょう」という話になったのです。しかし、NMNの人間の臨床試験は、10人です。
果たして、これで安全と言えるのでしょうか？
100人、1000人が５年間飲んでいたら、実は100人に大きな肝臓の問題が起こることもあり得るのです。実際に、NMN以外のNADを増やす方法で、人の臨床試験が行われたものもあります。そういった研究を見てみると、肝臓や腎臓に障害を患ってしまった、という報告もあるのです。つまり、このNMNに関しては、有効性も安全性も定かではない中で販売されてしまい、服用している方がいるのです。
「効果が明らかではなくてもとりあえず試してみればいいじゃないか」と思われる方もいますが、安全性の確認というのは緊急の課題として、データを集め、論文という形で公表されるべきだと思います。
NMNサプリメントの広告などをご覧になって、「ちょっと飲んでみようかな」と思われた方は、ぜひこのサプリメントの安全性の現状を確認していただきたいなと思います。
NMNに限らず、広告などの甘い言葉には気をつけていただき、「これって本当に害はないの？」などと、少し立ち止まって考えることを癖にしてみてはいかがでしょうか。
＜新刊紹介＞
『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する５つのM』
著：米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
定価：本体1800円（税別）
講談社
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一方、残りの８割は少なくとも1つ以上の慢性疾患を持ち、今後、高齢者の6人に1人は認知症になるとも言われています。
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写真／shutterstock
構成／新里百合子
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