「ふつう」の基準は国ごとに大きく異なる

 

皆さんは、自分のなかの「ふつう」が揺らいだ経験はありますか? たとえば転校、転勤、転職などで、経験したことのない習慣や思考に触れたときなど。ちなみに筆者は、企業文化がまったく異なる会社に転職したときに、自分のなかの常識がものの見事に崩壊してしまいました。新しい風習を受け入れるのに相当な時間や気力を要したのですが、そのくらいでへこたれた自分を恥ずかしく思うくらいそのはるか上をいく猛者がいました。

 

それが、クリエーティブ・ディレクターとして活躍されているキリーロバ・ナージャさんです。旧ソ連で生まれ、両親の転勤に伴ってロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの学校、しかもローカルな小中学校を転校生として渡り歩いたという彼女。転校のたびに異なる「ふつう」の基準に直面したというその特異な体験を、『6カ国転校生 ナージャの発見』という一冊の本にまとめています。彼女が素晴らしいのは、学校の風習の違いを単に面白おかしく書き立てるのではなく、その風習がどんな効果をもたらすのかを冷静に分析しているところ。それは彼女のある性格も関係しているようですが、それは後ほど触れたいと思います。

今回は、目から鱗の事実が満載の本書から、「座席」および「テスト」について触れた部分をご紹介します!