子どもの頃はジャンプの練習が嫌いでした(笑)


――あの伸びやかなスケートは何が礎になっているんでしょう。

僕もあまり自分のことがわかりきってはいないんですけど、小っちゃいときは今よりガンガンに飛ばしていて、スピードを出しすぎて、3回転まわりきる前にフェンスにぶつかって転ぶぐらい、かっ飛ばしてスケートはしていたみたいです(笑)。

――コンパルソリー(※フィギュアの旧種目で、決められた図形に従ってすべり、正確さなどを競う)を重点的にやっていたとか。

わりとやってたのかな。今の世代よりジャンプジャンプというより、コンパルだったり、ステップだったり、基礎に重きを置いたスケートを教わってきたとは思うので、コンパルとかは確かによくやってましたね。それこそジャンプをやりすぎたら怪我してしまうから、朝練はもうコンパルだけでいいよとか、スピンだけでいいよっていうこともよくあったし。

結構小さい頃から、一歩一歩をなるべく大きくと言われてきたし、あんまり足を早く換えないで、もうこれ以上滑っていけないというぐらいまで片足で滑るということは意識していたので、そこが活きているのかもしれません。

ジュニア時代の山本選手。今よりずっとあどけない顔つきが印象的です 写真:アフロスポーツ

――小さい頃って、ジャンプの練習とスケーティングの練習、どちらが好きでしたか。

実はジャンプの練習が正直嫌いで(笑)。みんなからジャンプが上手と言われていたんですけど、僕はあまり好きではなかったので、誰かが目を光らせていないと、すぐみんなと一緒にわちゃわちゃスピンの練習をしたり、ひたすら外周をぐるぐる回っているような子どもでした(笑)。

 

――逆に今は何の練習をしているときがいちばん気持ちいいですか。

今はジャンプが好きですね。特に今シーズンに入ってから例年よりジャンプが綺麗に決まるなという感覚があるので。やっぱり怪我をしてしまって、ジャンプができなかったシーズンを経験しているからこそ、こうやって当たり前のようにバンバン跳べるのは楽しいですし、綺麗に跳べたら気持ちもスカッとします。