夫の不倫は見て見ぬふりをすべきだった?

1990年8月4日。写真:Richard Gillard/Camera Press/アフロ

正直、エリザベス女王の周りは、離婚だらけ。4人の子供の3人までが離婚に至っています。そしてたった1人の妹、マーガレット王女も離婚経験者。いくら何でも、5組に4組は多すぎる……。
しかもそれら全て、原因は不倫。性格の不一致などという曖昧なものではなく、テレホンセックスまがいの音声流出もあれば、不倫合戦のようなダブル不倫あり。これほどスキャンダラスなファミリーはないと言わざるを得ないほど。エリザベス女王は、一体どれほど心を痛めてきたのでしょうか。

 

これは想像に過ぎないし、比較には何の意味もないけれど、英国王室ウォッチャーとしては、女王の心により重くのしかかったのは、そもそもどの離婚だったのか、そこに興味が湧いてきて。それもまた女王の心を覗き見る、1つの基準となるからです。

まず誰もが知る、チャールズ元皇太子、新国王とダイアナ元妃の離婚。説明するまでもなく、王妃となったカミラ夫人との不倫が原因で別居そして離婚。離婚成立の翌年、ダイアナ元妃は壮絶な事故死に見舞われます。
この世紀の離婚については、エリザベス女王も深く苦悩したと誰もが思うはずだけれど、実際のところこの離婚を元皇太子に強く勧めたのは、他でもない女王自身だったとの見方が濃厚なのです。


言葉にするのも恥ずかしい“タンポンゲート”なる音声流出に加え、ダイアナ元妃のインタビューにより、チャールズ元皇太子の不倫が世間に知られることとなるわけですが、“夫の不倫に取り乱し、それを世間に暴露するなどもってのほか。見て見ぬふりをするのがダイアナ妃の立場ではないか”。エリザベス女王は、そういう考えを持っていたこともあり、ある段階から離婚を望む立場に転じたと言われます。
そもそもが、英国の長い歴史において“愛人を持たない国王”など、1人も存在しなかったとも言われ、未来の王妃たるもの、夫の浮気などむしろ当たり前のこととして平然と受け止めるべき、という考えがあったに違いないのです。

1997年11月。写真:ロイター/アフロ

じつは『ザ・クラウン』でもわりに丁寧に描かれているように、エリザベス女王自身も、夫であるフィリップ王配の不倫に悩まされていたと言います。見て見ぬ振りができていたかどうかは定かでは無いけれど、ただ自ら波風を立てる事はしなかったわけで、まさに耐え忍んだ形。それも夫を深く愛していたからだとされるのです。