たっちゃんの言葉に背中を押された

 

――一緒に撮影をしてきた自分だから知ってる相手の一面といえば。

 

武田 たっちゃんはすごく周りを見ている人です。僕のお芝居の仕草とか言葉とか、大事な部分は絶対にキャッチしてる。外さないんですよ。だからよく友達に「木村達成ってどういう人だった?」って聞かれるんですけど、「芝居は間違いなくいい。うまい役者さんです」って伝えています。

木村 (得意そうな顔)

武田 今日初めて言いましたけど(照)。 

木村 ありがたいっすね。ちょっと鼻の下伸びますね。キュンですね。

武田 なんだそれ(笑)。

木村 航平さんは最後まで自分の役について悩み続けていた。その姿勢はもちろんなんですけど、それを1人で抱えないで、僕にも相談してくださった瞬間に、カッコいいなって思ったんですよね。それだけ一緒になってこの作品をつくろうとしてくださっていることがうれしかったし。自分だけで背負いこまないって難しいことなので、それができる航平さんはすごいなって。

 

――それは、たとえばどこの場面ですか。

武田 第5話の路地裏のシーンですね。あそこは結構話し合いました。ちゃんと気持ちがつながるように、僕が悩んだところは監督に相談して、消化する前にたっちゃんに聞いてみて。確か1時間くらい話したよね。

木村 そんなに話しましたっけ?

武田 たぶんそれくらいかかっていたと思う。スケジュール的にもタイトだったんですけど、スタッフさんも待ってくださって。このシーンは絶対に外しちゃダメだっていう気持ちがみんな一致していたからこそだったと思うんですけど。そしたら、悩んでいる僕にたっちゃんが「航平さんの好きなようにやるべきです」って言ってくれて。その言葉に背中を押されたし、あそこはみんなの力が合わさってできたシーンだと思う。

木村 よく覚えているのが、目の前がバーで、そこのドアがよく開くんですよね(笑)。

武田 そうそう。そのたびに「すみません」みたいな(笑)。

木村 キスシーンを撮るときも、お店で飲んでいる方の笑い声がめちゃめちゃ聞こえてきたりして。

武田 酔っ払っているお客さんたちが覗いてるところで僕らが抱き合ってるっていうね(笑)。まあそれもリアルだなと思って、本番は堂々とやらせてもらいましたけど。