履歴書に書けない「人として」のスキル

 

筆者はアルバイトや日雇派遣をする中で、社員には挨拶をするのに、非正規やアルバイトには挨拶をしない人、派遣相手だととことん横柄になる人もたくさん見てきました。そういった、社会から疎外される経験、ぞんざいに扱われる経験をしたことも、人生にとってはプラスだったな、と思うことがあります。人は肩書きやキャリアでははかれない部分があまりに大きいと悟ったりしました。

履歴書に書けることが少なくても、人間的にたくさんの経験をしてきた人が、違った形で評価されたり、ポテンシャルを見てもらえたりする社会だったらいいのに、と思います。

 

「門前払い」された筆者も、本まで出せた


キャリアアドバイザーから「市場価値ゼロ」の烙印を押され、書き手になりたいという願いを口にしたら「趣味でやってください」と言われた筆者。しかし3年ほど経った今では書く仕事に就き、本を出版することもできました。本の中では、ボロボロだった転職活動や、派遣での体験も書いています。そんな今では、転職でボロカスに言われ、相手にもされなかった経験も決して無駄ではなかったと思えています。

 

転職のプロが教えてくれる正攻法は、あくまで一般論。全ての人に当てはまるわけではありません。今は経験がなく、正社員として経験を積ませてくれる会社と出合えなくても、副業で夢に向かってコツコツ実績を積み、それを将来的に本業にする道もあります。趣味でもコツコツ続けていれば、いずれ仕事に繋がる可能性だってゼロではありません。

そういったやり方はなかなか紹介されないし、一般的なルートしか見えず、そこに乗れなかったら希望は諦めなければいけない……と考えがちですが、実際そうでもありません。キャリアアドバイザーの意見一つ、企業の採用担当の言葉一つで、やりたいことを諦める必要はないのです。これも、転職活動で何度も打ちのめされたからこそ得られた、一つの教訓です。


文/ヒオカ
構成/金澤英恵

 

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