「自分にとって大切なもの」を、人は意外と知らないという話


著書『最高の老後』に、「Matters Most To Me(マターズ モスト トゥー ミー。自分にとって何が大切かを知っておく)」という章があります。自分の「生きがい」や価値観を知ることの重要性について記した章です。

節制して身体的な健康が保たれるのが自分にとって快適で幸せだと思えるのであれば、その方がよいのでしょう。一方で、節制をストレスに感じ、好きなものを食べて暮らしたいという人にとっては、節制せずにいた方が心理的に健康でいられますよね。目指すべき姿や人生のゴール設計を思い描き、身体的な健康とのちょうどいいバランスをはかっていけば、ご自身にとっての「健康な食生活」を自然と実践することができるかもしれません。

一方で、歳を重ねて持病を持ちましたという場合、少し状況が変わる可能性もあります。食事の制限ができないと、症状に直結する場合などですね。たとえば「心不全(しんふぜん)」という心臓の病気を持つ方ですと、塩分制限が十分にできないと、自分自身の体調に直結し、息苦しくなってしまう場合もあります。それが生活の質を落とすことに繋がるケースもありますので、持病によっては食生活の制限がやむを得ない場合もあります。

 

塩分制限や健康な食事の選択は未来の自分の体への投資となります。医師としては、やはりそこも強調していかなくてはいけないところですから、最後に付け加えさせていただきますね。

記事としては、「健康にはこんな食事がいい」「この運動をすればいい」と断言した方が、白黒はっきりして面白いのかもしれません。ですが、科学に誠実な立場をとれば、とりわけ食生活については回答がグレーのまま残されてしまう部分も多いのです。

<新刊紹介>
『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』

著:米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
定価:本体1800円(税別)
講談社

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高齢者の2割には病気がないことを知っていますか?
今から備えればまだ間に合うかもしれません。

一方、残りの8割は少なくとも1つ以上の慢性疾患を持ち、今後、高齢者の6人に1人は認知症になるとも言われています。
これらの現実をどうしたら変えられるか、最後の10年を人の助けを借りず健康に暮らすためにはどうしたらよいのか、その答えとなるのが「5つのM」。
カナダおよび米国老年医学会が提唱し、「老年医学」の世界最高峰の病院が、高齢者診療の絶対的指針としているものです。

ニューヨーク在住の専門医が、この「5つのM」を、質の高い科学的エビデンスにのみ基づいて徹底解説。病気がなく歩ける「最高の老後」を送るために、若いうちからできることすべてを考えていきます。


写真/shutterstock
構成/新里百合子
 

 


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