——『七人の秘書』で室井さんは元秘書の鰐淵五月を演じています。久しぶりにキャストで集まって、どんな手応えを得られましたか?

室井滋さん(以下、室井):連ドラの撮影が終わってから1年半〜2年近く経って再び集まったのですが、期間が空いていたことを感じることもなく、すぐに馴染んだ感覚がありました。法事で集まった親戚同士みたいに思い出話に花を咲かせちゃう、みたいな。だから関係性を作り直す必要もなく、すごく良い雰囲気で撮影に挑めましたね。連ドラのときはスタジオや都内近郊のロケが多かったのですが、今回は全員で地方の大自然に行けたので、なおさら新鮮で楽しかったです。


——映画版でも7人の信頼関係や仲の良さが滲み出ていますが、連ドラの頃からキャストの方々と波長が合っている実感はありましたか?

室井:みんな年齢も性格もバラバラだし、ピンポイントで似ているところがあるとは思わないけれど。だからこそ会話が楽しいんですよね。

私はガラケーユーザーだし、SNSもやらないんです。最新のコミュニケーションツールをまったく使いこなせていないのですが、撮影現場で多彩なお姉様たちと交流することで、時代の変化や流行を感じ取ることができるんですよね。集まるとすごく楽しいし、心強い存在でして。劇中においても、7人は秘書という共通点がありますが、それぞれ得意分野や考え方が違うからこそ、一緒にいると視野が広がったり、助け合ったりすることができるのだと思います。 

 

——劇中では「萬」というラーメン屋に秘書たちが集まってシスターフッドを形成していますが、室井さんにもそんなプライベートにおいて信頼する仲間が集まる場所がありますか?

 

室井:エッセイの原稿を書くときに訪れる喫茶店が何件かあるのですが、常連客のおばさんと仲良くなってたまにアルバイトを頼むことがあります(笑)。撮影でしばらく地方に滞在するときに、自宅周りのお掃除を頼んじゃったりとか。反対にこちらも頼まれ事をすることもありますし、コミュニティのメンバーとお互いに頂き物をお裾分けしたりして、ちょっと田舎みたいな交流を楽しんでいます。私は富山県出身だし、もともと地域と関わりながら生きるのが好きなんですよね。『七人の秘書』とはスケールの大きさが違うかもしれませんが、女性たちが助け合って生きていく、というのは私としては身近に感じることができる設定です。


——大人になればなるほど人との出会いが減ってしまったり、行動範囲を広げるのが億劫に感じてしまったりする人もいると思います。いろんなコミュニティに顔を出して、新たなつながりを増やしていくことにハードルは感じませんか?

室井:確かに、年齢を重ねると新しい友達を作るのが難しくなりますよね。でも、それはやっぱりちょっと寂しいことだから、何歳になっても自分から出会いの場を広げる努力はしたほうがいいと思います。今の若い人はマッチングアプリで見ず知らずの人とやり取りしているのに、電車で隣に座った人とは目も合わさないでしょ。なんか変な感じ(笑)。私は若い頃から、電車や映画館で隣に座った人に話しかけて仲良くなったことが何度もあります。今でも毎日のように銭湯に通っているのですが、常連のお婆ちゃんたちと話し込むこともあって。私の年代で「友だちを増やしたい」なんて言ったら年甲斐もないと思われるかもしれませんが、年相応に生きることに縛られてしまうのも息苦しいでしょ。