世代間ギャップに気付かず失敗

もしあなたが若手に何か教える立場だとして、部下たちは自分たちが若かった頃とは違ってきているもの。そのことに気付かず、当時の自分たちと同じだろうという前提でコミュニケーションを取り、失敗している人は多いようです。また、会社員でない場合も、これは親子関係でだって起こりがち。そういった世代間のギャップからくるコミュニケーショントラブルを減らすには?

植原:こちらもやはり、思いつきやすい可能性で人を判断してしまうという“利用可能性バイアス”がかかって起こるトラブルです。「自分たちはこの年代のときこうだった」というのは、自分の経験したことですから、もっとも記憶から呼び起こしやすい情報です。そして、「だからこの世代は皆、こういうものだろう」と全面化してしまう。この思い込みがコミュニケーションにおいて作用し、世代間ディスコミュニケーションにつながってしまうのです。

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これを防ぐには、当人たちの事情や背景を想像してあげることが必要です。当たり前ですが、自分たちが若い頃と今の若い人たちとでは経験してきていることが違います。経験が違えば、当然、培われてくる価値観も違ってきます。だから、彼らが何を経験してきたのか調べてみることがオススメ。たとえば年表を作って、「10歳のときにiPhoneが誕生したのか」とか「震災を経験したのは15歳ぐらいのときだったのか」などと知ると、思いのほか自分たちとは違う背景、価値観を持っていることが分かります。そこから「だったらこう考えるのも分かるな」と、若い世代のことを理解するきっかけが生まれると思います。

世の中というのは意外に変化が早く、5年も経てばいろいろと変わるものです。20歳と25歳でも大きく違いますから、20代、30代などと幅広くまとめてしまうと、また上手くいかなくなってしまう。年表は、長くても5年単位で作るようにしたほうが良いでしょう。