漢方薬の副作用にはどんなものがある?【医師の解説】


どんな薬にも副作用があり、「害」と「益」両方の側面がある。まずは、この基本をご理解いただきたいと思います。
そして、漢方薬が安全であると考えられる理由は、「生薬だから」とよく言われますが、ここにも誤解があるかもしれません。

たとえば、私たちが西洋医学で使用している抗がん剤の中には、生薬から生まれたものもあります。そうした薬には、かなり強い副作用が出るものもあり、生薬=安全で副作用がない、というのは間違った認識です。

 

副作用の例を、一つご紹介しましょう。多くの漢方薬に配合されている、「甘草(かんぞう)」と呼ばれる成分があります。
詳細な説明は省きますが、この「甘草(かんぞう)」が入っている漢方薬を使用した場合、高血圧を招く恐れがあったり、血液中のカリウム濃度が下がってしまう「低カリウム血症」などを引き起こす場合があります。

以前、高血圧と、カリウムの値が低く、力が入りにくくなる症状で受診をされた方がいました。そのケースでは、服用していた漢方薬をやめてみたら、症状が改善したのです。ご本人は「漢方薬には副作用がないはずだ」という認識で、体調が悪化しても漢方薬を服用し続けていたのですが、実は漢方薬が体調悪化の原因でした。

こうしたケース以外にも、色々な副作用が知られています。しかし繰り返しになりますが、副作用があるから漢方薬を使わない、ということではありません。

漢方薬を服用する前に、もう一つ注意していただきたい点があります。