健康に気を使いすぎると、早死にする!?


食事は人生に大きな楽しみをもたらしてくれますが、40代以降になると生活習慣病予防やダイエットという観点から制限する傾向が強くなりますよね。しかし、池田先生は健康に気を使って食事を制限することに警鐘を鳴らしています。それは、人生を楽しめないからという理由だけではないようです。

「『フィンランド症候群』という現象があります。フィンランド保険局が1974~1989年の15年間にわたり、40~45歳の1222人の男性管理職を対象にアトランダムにほぼ半数の612人を選んで、最初の5年間定期健診をおこない、医師が食事のチェックや運動、タバコ、アルコール、砂糖や塩分摂取などについて指導しました。もう一方の610人には定期健診もせず何の積極的介入もおこなわずに、健康管理を本人に任せました。その後、1989年までの15年間の追跡調査の結果、医師の介入のあったグループでは67人が死亡し、介入のなかったグループでの死亡数はそれよりも21人も少ない46人という驚くべき数字が出たのです。心臓疾患の死者は特に差が大きく、介入群の死者34名、非介入群14名だったのです」

皮肉なことに、細かく健康管理をしたほうが早死にする確率が高いという結果が出てしまいました。池田先生は、原因をこのように考察しています。

「健康的な生活を追求しすぎるあまり、それが精神的なストレスとなって肉体に影響をおよぼし、心疾患にかかりやすくなったと思われます。医師にあれこれ指導を受けたり、健康に気を使いすぎたりするよりも、おおらかな気持ちで、自由気ままに生きたほうが病気にもかかりにくいし、第一、楽しく生きられるのです」

 


健康にいい食品ばかりを摂るのは危険!?


さらに池田先生は、健康にいいとされる食品ばかりを摂取する危険性についても言及しています。

「むしろ危険なのは、体にいいからと、同じ食品を毎日食べ続けることでしょう。加工品にはさまざまな添加物が使われていますし、野菜にはたいてい種々の農薬が入り込み、輸入の肉や魚の多くに抗生物質やホルモン剤が含まれています。健康にいいからと、同じ食品を毎日食べ続けることは、同じ有害物質を毎日摂り続けることを意味します」

 

さまざまな面から健康志向の中に潜む危険性を指摘する池田先生は、健康との向き合い方についてこのように提案しています。

「健康についても自分の頭で考えて自分なりの『規範』をつくってはどうでしょう。ちなみに、ぼくは『健康に気を使わない健康法』という規範を掲げています」