「ここでコケたらバチがあたる」ほんわか主婦が本気を見せる


渡辺あやさんは今期も連続ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』を担当する人気脚本家です。その彼女が当時手掛けていたのは、監督・俳優の須藤蓮さんとタッグを組んだ自主製作映画『逆光』。

尾道で製作されたその映画は、地方での宣伝に注力していました。しかし東海地方はその時点で手薄。そこで関谷さんに白羽の矢が立ったのです。

「映画を鑑賞し、すっかり世界観に夢中に。この映画を世に広めるお手伝いをしたいと思いました。クラウドファンディングにて資金調達を行っていたこともあり、もし宣伝チームに加えていただいたとしても私のギャラはさほど確保できないことはわかっていました。でもそんなことは問題にはなりませんでした。

誰も相手にしてくれなかった『地方で映画宣伝に携わりたい』という夢だけはある主婦の私に、期待して、宣伝を任せたいと言ってくれる方がいる。しかも敬愛する渡辺あやさんと、才能ほとばしる須藤さん。

今までいろんな人に、『地方にいて映画業界は無理』と言われた私です。これでコケたら、バチが当たる。やるしかない、心は一気に燃え盛りました

撮影/福井湖太

さっそく、岐阜の映画界隈について猛烈に分析を開始した関谷さん。岐阜には、ハリウッド大作などがかかる大型映画館はあれども、あいにく『逆光』を上映できそうなミニシアターがほとんどありません。

 

そこで関谷さんは、地元の岐阜新聞社が主催する特別上映に目をつけます。新聞社が選んだ映画が一定期間上映されるというもので、これならば可能性がある! とひらめきました。

「とにかく担当者に映画を観てもらわなくては。その一心で営業に飛び込むと、熱意が伝わったのか、担当の方が東京で上映されていた『逆光』を観に行ってくださったんです。最初は私1人の思いつきだったのに、熱意を持ってガムシャラに動くうちに、少しずつ周囲の方が興味をもってくださるプロセスを体感しました

それがきっかけで、関谷さんの狙い通り、岐阜で「逆光」の公開が決定。しかし、関谷さんの勢いはそこではとどまりませんでした。