50代でもこんなこと考えていいんだよーって、思ってもらえたら

快適な目覚めのために導入したアラーム付きシーリングライト。毎日ライトよりも早く目覚めてしまい、「そういう齢なの!?」と憂う伊藤さん。(『けっきょく!女のはしょり道』より)

――膣ケアのお話もそうですが、『女のはしょり道』はどのお話もユーモアたっぷりですよね。加齢や老化と真正面から向き合うと結構シリアスになってしまいそうですが、伊藤先生の「加齢上等!」の姿勢は、読んでいて思わず笑顔になります。

伊藤 ちょっと美容とは話が逸れるんですが、私の母は坐骨神経痛を患っているんですね。いつも痛い痛いって言っているんだけど「この痛みは私だけのものだから他の人にはわからないの」って、誰にも助けを求めないんです。それはそれで大したものだけど、できれば痛みはない方がいいじゃないですか。整体に行くとか、毎日体操するとか。誰かに頼ってラクになったり、ちょっと工夫してみれば「もしかしたら」よくなるかもしれない。加齢や老化で不具合が出たら、耐えるよりも苦しみを手放すためにどうしたらいいか、そんな方向で対処していきたいですよね。母もね、なんとかできればいいんですけど。

 

――最新刊ではまさに、健康だったり、生活の質を上げるためのテーマが多いですよね。

伊藤 50代になって必然的に多くなりましたね。最近のVOCEにも描いたんですけど、私ぎっくり腰になりやすくて。朝布団から飛び起きられる方はまだまだ若いんです! 私が飛び起きたら、一発ノックアウトです。目が覚めたらまずは、寝ながら足首を回す体操をして、布団の横からそーっと起きる生活なんですよ。

――「ガバッ!」と同時に魔女が一撃必殺を食らわすんですね……。

伊藤 そうそう。そうやって布団の中で起きる準備をして、9時半くらいにやっと二足歩行できる人間に戻れるんです。これは今だけのものじゃなくて、この先もずっと続くんだろうなって最近気づきました。あとは誤嚥性肺炎防止のベロ体操をしてみたり、やめてみたり。続いていることもあれば、続かないこともあるんですけど、いいなと思ったことはすぐやってみるんです。全部みっちりやっていると朝に人間に戻れる時間がどんどん遅くなるので、適当にアレンジしてますけどね(笑)。

――連載から15年の月日を経て、「美容」から「美容と健康」にテーマがシフトしてきた50代ですが、今後の『女のはしょり道』ではどんなテーマを考えていますか?

伊藤 「お金」ですかね。これからどんどん美容にお金がかかるのでは? という気がするので、美容とお金の問題とか。それと、今53歳でそろそろ60歳の壁が見えてくるので、「健康診断で血圧が高いって言われた!」から何かを始める、とかはありそうですよね。親の介護、夫の病気、そっち系が入ってくる可能性も捨てきれないなぁ……ないといいけど。

――そう考えると『女のはしょり道』は、伊藤先生とご家族の人生の軌跡を辿る作品になりそうですね。

伊藤 そうなるといいですね。あ、それと今ですね……夫にもVIO脱毛を勧めてるんですよ……。「えーっ」って言ってやってくれないんですけど、介護の時も楽と聞きますし。そのうち「お金は出すから頼むからやってくれ!」って言いそうな自分が怖いんですが(笑)。

――吉田さんの行く末は、ぜひ漫画で見守らせていただきます。

伊藤 私は50代から急にVIO脱毛に目覚め、膣ケアに目覚めましたが、世間から見たら遅い方だと思うんです。メイクもスキンケアもいまだに正解はわからないし、毎日はしょってばかりですけど、でも50代でもこんなこと考えていいんだよーっていうことを、引き続き『女のはしょり道』でお伝えしていけたらいいなって思ってます。

『けっきょく! 女のはしょり道』
著者:伊藤理佐 講談社 990円(税込)

はしょり道ここに極まれり!? 美容誌『VOCE』にて38歳で連載をスタートし、途中で結婚や出産を経て加速した美へのはしょり道。五十路を迎えた今、美容に加え「健康」のテーマも増加中! 夫や子どもたちをも巻き込みながら、ラクしてサボって美しく、かつ健康を手に入れるべく、著者の伊藤理佐さんが奮闘します。クスッとは当たり前、時に爆笑必至のエピソードが詰まった大人気シリーズ待望の最新刊!



撮影/岩谷優一
ヘアメイク/Myoken
取材・文/金澤英恵