「自己を開示する技術」は失敗から学んでまた前進するための技術


男性学を研究している社会学者の田中俊之さんによれば、男性は弱みを人に見せられず、辛い時に他人に相談できない傾向が女性よりも強いのだそうです。「男はこうあるべき」という自身の思い込みや世間からの要求に縛られ、自身の弱さを認めることができない。これはしんどいですよね。

若い頃からの「自己を開示する技術」、つまり「言語化する技術」「助けを求める技術」「建設的な解決策を考える技術」の習得が重要です。

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そう、心掛けではなく、技術なのです。場数を踏んで身につけるしかありません。だから私は息子たちにことあるごとに「困ったらいろんな人に相談してみるといいよ。もちろん私はいつでも力になるよ。自分の脳みそは一個しかないから、一人で考えることには限度がある。だから、他の人の複数の脳みその知恵を借りた方がいい方法が見つかるんだよ」「困っている人がいたら、君にできることがあれば助けてあげなね」と話しています。試行錯誤して時には失敗しながら、人と繋がる体験をして、自分を開く技術を身につけてほしいです。

 

失敗や敗北なんて、誰にでもあることです。そこから学んでまた前進できる道を探せばいい。失敗や敗北を認められずに殻に閉じこもると、誰とも繋がりのない、最も脆弱な立場に追いやられてしまいます。その不安が身近な人への暴力に変換されることもある。だから社会が「人生はああもこうも生きられる、何度でもやり直せる」という選択肢を用意することもまた、非常に重要なことです。

11月19日は、国際男性デー。知らなかったという人は29日の「いい肉の日」に、牛丼でも食べながら身近な男性と話してみるのもいいかもしれません。

 


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