BA.5とBQ.1、BQ.1.1の違いは?


山田:BA.5がさらに変異を獲得することにより、BQ.1、BQ.1.1は免疫から逃れる能力を獲得していきました。さらに、このBQ.1やBQ.1.1に対しては、今までに開発された抗体製剤が、無効になっているのです。また、初期のオリジナルのコロナウイルスに感染して私たちが獲得した抗体、オリジナルのワクチン接種によって得た抗体が、新しい変異ウイルスに対しては働きにくくなる可能性が考えられ、世界的に懸念されてきたのです。

編集:そう聞くと少し怖いですね。

山田:ただ、実際は、フランスでのインパクトは思ったより大きくなかったのです。このことは私たちに少し楽観的な見方をさせてくれると思います。このように今のところ、新しい変異ウイルスのインパクトは大きくなさそうですが、地域差もありますので、日本でこのウイルスがどのような影響をもたらすのかはまだ不透明と考えておいた方が良いでしょう。

編集:日本ではコロナウイルスの感染者が少し増えつつあり、第8波についても懸念されています。それに対して、ニューヨークは比較的落ち着いてきている、ということなのですね。

山田:そうですね。増加も見られていないので、これはよいニュースですね。さらにもっとよいニュースは、このBQ.1に対しても、今私たちが使用しているオミクロン対応ワクチンが、有効だと報告されていることです。この冬を乗り切るためにも、オミクロン対応ワクチンを受けていただくことは、感染予防・重症化予防、様々な側面で有利に働きそうです。よく考えてみれば、BQ.1はBA.5の子孫にあたる変異ウイルスですので、予想の範囲内なのかもしれませんが。

編集:オミクロン対応のワクチン、そしてインフルエンザワクチンは、同時接種も可能なのですよね?

山田:その通りです。そして基本の感染対策はコロナ・インフルエンザ、ともに大きく変わりません。繰り返しになりますが、人混みでのマスク、手指消毒、換気などを続けていただき、ウイルスに対する扉を閉めて、ウイルスの侵入をブロックする、という発想で生活していただければと思います。その上であれば、過度に恐れて過ごす必要はないと思いますね。

編集:新しいコロナの変異ウイルス、インフルエンザの感染流行も心配ですが、基本の対策をあらためて徹底したいと思います。ありがとうございました!

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構成/新里百合子
 

 


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