「ひとりっ子の男の子」は、母親との距離感が成長のカギ


大きく言って、男の子と女の子では「伸ばし方」が違います。とくに、中学受験を目指しているような小学生の段階では、明らかに違います。

ひとりっ子を育てるにあたっては、男女の性差と、ひとりっ子ならではの特徴の両方を見ていくことで、より伸びしろを大きくできるのです。

なお、その子の能力を引き出していく過程において、男の子は母親との、女の子は父親との関係が強く影響を与えます。だから、親を100%独り占めできているひとりっ子は、より性差の影響が出やすいとも言えるのです。

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男の子は同年齢の女の子に比べて精神年齢が低い傾向にあり、さらに男の子がひとりっ子である場合、母親べったりとなりがちです。母親のほうも、かわいいひとり息子に対し過保護になります。

その深い愛情自体が悪いのではありません。小学校低学年のうちは自分でスケジュール管理ができないので、母親がフォローしてあげる必要があります。ただ、ある程度のところで手を離さないと、子どもの自立が妨げられてしまいます。

このとき、仕事や地域活動などで忙しくしている母親は、子どもをかまいたくても現実的に時間があまり取れません。専業主婦で家にいられる時間が長い母親でも、子どもが数人いれば、一人にかけられるパワーは必然的に減ります。

ところが、ひとりっ子に充分な時間をかけられる母親は、なんでもかんでもと世話を焼きたくなります。子どもも、そうされるのが当たり前だと思って、ますます母親頼みになっていきます。いわゆる「共依存」状態に陥ってしまうのです。

こういうパターンは、子どもの将来を考えたときに、ちょっと心配です。

 


「共依存」を避けるには、母親が世話を焼きすぎないこと


家庭に兄や姉がいないひとりっ子は、親との世界がすべてです。母親べったりの男の子は、母親との世界がすべてです。そのため、母親が世話を焼き過ぎたひとりっ子の男の子は、母親の言うことがいつでも正しいと考えるようになります。母親は母親で、自分の子どもしか見ていないと、価値観や考え方はとても狭まくなりがちです。

こうして、母親が提示してあげる世界が狭ければ、子どもの思考や物事の見方などが非常に偏ったものになっていきます。親としてそんなつもりはなくても、無意識のうちに子どもを洗脳しているとも言えます。

一方で、男の子は父親とは共依存にはなりにくいのです。父親が息子に勝手に夢を託してしまうことはありますが、依存にまでは発展しにくいでしょう。

こうしたことから、ひとりっ子の男の子を伸ばすには、母親との距離感が重要になってきます。あるときまでは、スケジュール管理も含めてフォローしながら、時期がきたら、それを自分でできるようにさせましょう。

そのタイミングとしては、10歳を目安に考えるといいのではないかと思います。