働かない女性に優しい日本、働く女性に優しいフランス


現在、ひろゆきさんはフランス・パリに在住中。フランスといえば、2022年7月に発表された「世界のジェンダーギャップ指数ランキング」において146カ国中15位。一方、日本は116位と大きな開きがあります。それゆえ女性の働く環境も日本より整っている印象がありますが、実際のところはどうなのか伺ってみました。

ひろゆきさん(以下、ひろゆき):法や文化においては、フランスの働く環境のほうが日本より圧倒的に平等だと思います。収入によっては国からベビーシッター代の補助がありますし、従業員数が1000人以上の会社では、2030年までに40%以上を女性経営幹部とすることが法律で義務づけられたりもしています。でも現実には、子供のことによく気が付いてケアをする割合は、どうしても女性のほうが高いですよね。それにいくらベビーシッター代が安いといっても、じゃあ何時間も預けて仕事に専念できるかといったら、心理的にキツいものがある。

写真:Shutterstock

そこで「やはり子供のそばにもっといたい」と専業主婦を選んだとき、急にフランス社会は冷たくなるんです。フランスは“PACS”というパートナーシップ制度を選ぶカップルが多いのですが、これは正式な婚姻関係ではないので、専業主婦の場合、別れたらそれで終わり。日本のように、専業主婦が被扶養者として年金を積み立てられる制度などもありませんから、いきなり無収入になる可能性もあります。ある意味、「働く環境は整えていてあげたんだから、働かなかったアナタが悪いのよ」と突き放しているとも言えるでしょう。平等とは、意外と厳しいものなんです。

 

――実際、フランス女性の就業率は80%以上と言われており、「フランスには専業主婦がいない」なんて妄言もあるほど。裏を返せばそれくらい、「働け」という圧力が強いということでもあるんでしょうか。

ひろゆき:日本の専業主婦は、さっきも言ったように夫の被扶養者として年金を積み立てられるなど、いろいろな保護措置がありますよね。何より、専業主婦だからといって世間から冷たい目で見られることはない。働くか働かないかという選択肢がある点は、日本の女性はフランスより恵まれているとも言えると思います。ただ働くほうを選択すると、一気に心地が悪くなる。出世できないし、家事・育児の負担が劇的に増えるなど、多くの不利益を被るのが現実です。