モニターに映っていた「見たくなかったモノ」


「彼は、私が週の半分ほども大阪に行っていても、そのことについて文句を言うことは一度もありませんでした。ある時、あんまり淋しそうじゃないなって、女の勘というんでしょうか、訝しく思ったんです。

大阪から予定を繰り上げて深夜に帰ってきて、リノベーション中のマンションに行きました。ハウススタジオとしても稼働していて、鍵は彼の部屋のデスクにあるのを知っていたので持ち出しました。誰も居なくて、ホッとしつつ、中に入ってみたんです。それでインターホンの履歴を見ました」

確かに昼間は撮影スタッフが出入りしています。しかし、2日前と1日前、両方とも23時頃に、同じ女性が訪れていたのです。1人でそんな時間に、仕事関係の人が訪れるはずがありません。しかも録画から、雅弘さんが在宅していて、応対していることがわかります。千佳さんはモニターをスマホで写真にとり、何も言わずにそれを彼のスマホに送り付けました。

30分後、慌ててマンションにやってきたという雅弘さん。その女性はじつは長く付き合っていた元カノで、付きまとわれている。絶縁したいが、今でも広告デザイナーとして協働していて、まだ繋がりがある、その日も翌日のロケの打合せをしたという苦しい言い訳がありました。

 

「真っ黒だと思いました。私が居ない間、浮気をしていたんだなと。信じられない、LINEを全部見せて、と言ってスマホを取り上げましたが、インターホンの写真を見て証拠隠滅を図ったのでしょう、怪しいメッセージは出てきませんでした。

奇襲するべきだったと悔やみましたが、仕方ありません。でも、彼がモテるのは分かっていましたし、何と言っても婚約している自分が本命なのは明らか。証拠がないのに責め立てても彼は白状しないだろうし、私の株も下がってしまう。次はないと厳しく宣言をして、目をつぶることにしたんです」