8時間寝ることができる働き方か?

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ウェルビーイングを叶えるために最も重要なことの一つが、「集中力を発揮すること」です。健康を保ち、効率的に業務をこなし、時間をつくりだす。その時間で新しい学びやキャリアデザインに取り組むことが可能になるのです。

集中力を研ぎ澄ますために一番大切なのが、十分な睡眠。想像力を発揮し、未来を構想するような高いレベルの思考をするには、平均8時間の睡眠が必要だと言われています。

皆さんは、毎日8時間寝られているでしょうか。残業が多く、深夜や早朝に家事をこなして睡眠時間が減る。早く帰れた日も、うまくいっていない仕事を心配して目がさえてしまう。趣味の時間を確保しようとすると睡眠時間を削るしかない……。いろいろな理由で、睡眠時間を確保できていない人が多いのではないでしょうか。

「これからどんな働き方をしていくか」を考える上で、「この働き方は、8時間睡眠ができる働き方か?」という観点をとりいれてみましょう。始業時間・就業時間や通勤の要否、実力対比の業務負荷など、どんな要素が自分の睡眠時間を奪っているか考えてみるといいと思います。

 


公平に扱われていると感じること


不安やストレスも、集中力を妨げウェルビーイングを阻害します。

「私の働きぶりは、上司にちゃんと評価されているだろうか」
「あの人はリモートワークが許されているのに、なぜ私はダメなのか」

組織やチームで働く場合、従業員同士の不公平感は不安やストレスを生み、仕事に負の影響を与えることになるでしょう。特に不公平を感じやすいのは、家庭のケア仕事の担い手たち、若い働き手たち、業務の性質上在宅勤務を選択できない人たちです。

例えば、育児のために仕事を休む同僚の肩代わりをする独身者のことを考えてみましょう。

独身だから残業することが当然だと思われているのではないか、給料は変わらないのに私の方が業務時間が長い……。そんな不公平感をいだいているかもしれません。そのモヤモヤを解消するためには、上司に丁寧な説明を求める、突発的な残業に対応する代わりに始業時間に裁量を持たせてもらうことでバランスをとるなどの対応が考えられます。


今日の企業は、大きな混乱と不透明性と未知の状況を直面している。そのような時代を乗り切るためには、社員同士の信頼関係が重要になる。
-『リデザイン・ワーク 新しい働き方』より


公平に扱われていると感じることは、働く人同士の信頼関係を強固にします。そして職場の心理的安全性が高まり、前向きに働く助けになるのです。

リンダ・グラットンが『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』シリーズで世に浸透させた、「人生100年時代」という言葉。「寿命が延びる=長く社会で働くことができる」というポジティブなメッセージのはずなのに、「今の働き方ではもたない」というような悲観的な文脈で語られがちではないでしょうか。

「もう、不毛な我慢は必要ありませんよ」

リンダ・グラットンのメッセージは、人々を怯えさせる北風ではなく、暖かい太陽です。大切なのは、今の不安定な時代を「変化のチャンス」と前向きにとらえること。そうすることで、仕事がただの労働ではなくなり、豊かな人生とリンクしていくようになるはずです。


文 /梅津奏

 


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