SNSが健康にもたらす影響は、はっきりと断定できない。


山田:SNSが健康に与える影響を調べた研究はありますが、そもそもSNSには色々な種類もありますし、一概にその影響を綺麗に検証するのが難しい分野です。
たとえば、現在SNS上には、健康に関する誤情報が溢れています。それを見て参考にしてしまった方々が、どの程度の割合で実際に健康を害しているのかということも、きちんと検証されていくべきだと思います。ただ、そこまで徹底した研究はなかなかありません。

編集:誤情報だったとしても、SNSで「いいね」の数が多いと、その投稿を見た人の意思決定に影響を及ぼす可能性は高くなりそうですね。

山田:そうですね。SNSが多くの人々の生活に浸透している今、その影響を調べる研究の重要性が増していることは、間違いありません。
今回は、今から5年ほど前の2017年に公開された、Facebookのユーザーを対象とした研究がありますので、ご紹介しますね。2013年、2014年、2015年のタイミングでそれぞれLike(いいね)を押した回数や「友達」の数が測定、またオンラインアンケートを実施して、身体的健康、心理的健康、人生に対する満足度などを集計したものです。それらと同時に、友人とどれだけ対面で会っていたかなどといった、オフラインの社会生活についてもデータが集計されました。

編集:結果が気になります!

 

山田:ただ、もちろんこの研究結果を見る際にも、いくつか気をつけなくてはいけないポイントがあります。まず、研究対象となったのは、Facebookユーザーの中でも、ご自身のデータを大学の研究者が使用することに同意した人、ということです。つまり、対象者が偏った集団なので、国民全体の意見とはいえない、ということですね。

編集:たしかに!それにアンケートだと、思い込みで答えてしまうことも多そうですよね。

山田:おっしゃる通りです。ただ、通常こうした研究ですと、利用頻度などもアンケートで答えてもらうケースが多いのですが、今回ご紹介した研究では、2013年、2014年、2015年のタイミングでそれぞれLike(いいね)を押した回数や「友達」の数が測定されているので、時間軸でその影響を追うことができたのです。

編集:結果はどうだったのでしょうか?