「美容」にハードルの高さを感じている人に伝えたい

 

ーー「時代」というキーワードが出てきましたが、りんたろー。さんが美容を始めた当初(EXITがブレイクした約3年前)は、容姿をいじられたり、他の芸人さんから「芸人のくせに美容なんて」と揶揄されることもあったとか。今はそうした反応もずっと少ないと思いますが、その変化をどう思いますか。

当時はそれがスタンダードだったし、とくにお笑いは男社会のそういう文化なので、ああいう反応もわかるんです。僕がアクションを起こし始めた頃からちょうど世の中が変わり始めて、「美容やってる」って普通に言い出せる雰囲気になった感じで。そこは僕自身、すごく助かった部分でもあります。

きっとあの当時も、本当は美容をやりたいと思っていたり、実は隠れてやっていた人もいたんじゃないかなって思うんですよね。「そういうのもっと表に出していいし、堂々とやっていいんじゃない?」って、今だったら言える。「美容なんて」って言ってる芸人さんの男臭い感じも、僕は好きだったりするんです。ただそれはそれとして、「こういう僕みたいな芸人がいてもいいですよね」「これから増えていってもいいですよね」って、選んでも選ばなくてもいい選択肢の一つとして提示はできるのかなと。

というのは、僕はすごく忙しかった時に、自分を大切にすることだったり、時にはブレーキを踏んで立ち止まるってことを全部後回しにしてしまったんですね。でも振り返ると、ちゃんとやってあげればよかったなって、今すごく思うので。僕と同世代や下の世代の芸人が今後、仕事が増えて忙しいと感じるようになった時に、僕の体験談を喋ってあげられたら、もしかしたらちょっとは助けられるかもしれないっていうのは、めっちゃ思います。

 

ーー大変な時ほど自分のことを蔑ろにしがち、というのは誰にも当てはまることですよね。

そうなんですよ。「美容」って括ると、とくに男性にとってはハードルが高くなって構えちゃうと思うんですけど、実際は食事に気を遣うとか、毎日少しでも運動するだとか、みんなの生活の中にすでに取り込まれているものも少なくないんですよね。そういうことをちょっと大切にするだけで、「僕にはこんな幸せがありました」ってことを伝えていきたいし、一歩を踏み出す方法として、僕の体験を選択肢のひとつに選んでもらえたら嬉しいですね。

 

りんたろー。
1986年生まれ、静岡県出身。2008年4月、 NSC東京に14期生として入学。兼近大樹を誘い、 2017年末にお笑いコンビ「EXIT」を結成。ネオ渋谷系チャラ男漫才と称するしゃべくり漫才のツッコミを担当。ネタ作りも担う。アパレルブランドのプロデュース、音楽活動などマルチに活躍中。 
Twitter:@rinnxofficial Instagram:@rin_the_sky
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YouTube:EXIT Charannel
個人YouTube:EXITりんたろー。のYouTubeチャンネル

『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
¥1650(講談社)

・はじめに
・序章 二度売れた僕が考える、本当にやるべきこと 
「容姿いじり」の葛藤/主従関係があるコンビ/芸人をやめようと思ったときに/兼近大樹という男/EXITのターニ ングポイント/壊れかけた体/笑いが変われば社会は変わる……
・第1章 スキンケア 肌をていねいに扱う
・第2章 ボディメイク リバウンドしない体づくり
・第3章 インナーケア 自分は食べたものでできている
・第4章 メイク 気持ちを底上げする
・第5章 メンタルケア 「成功」だけでは幸せになれない
・終章 コンプレックスだらけだった、あの頃の僕へ
優等生だった頃/一発屋上等!/人間は、外見か内面か?/自分が消えてしまわないように/作業と感情を切り分ける /「じゃないほう」じゃない/自虐の終焉 ...
・おわりに
・おまけ/美容初心者の方に贈る「自分を大切にするための練習帳」


撮影/山本佳代子
文・構成/山崎 恵