「あきらめたら終わり」という言葉が胸につきささる……!


脳梗塞や脳出血など、脳疾患の後遺症は、本当に人それぞれ。発症した部位や程度、年齢や身体の状態などによっても違ってくるのでしょう。もちろん、その回復度合いや速度も十人十色です。

リハビリ病院に入院中、「あの人はもう、麻痺したほうの手でものを持っている!」と焦ったり、「あの方はまだ車イスなんだ」とちょっぴり安心したこともありました。でもやがて、「上を見ても下を見てもきりがない」と気づき、自分自身にフォーカスするようになっていきました。

これまでにも何回か触れましたが、「脳卒中の後遺症は6ヵ月後、ほぼ回復が止まる」とされています。

厚生労働省による「脳卒中の治療と仕事の両立 お役立ちノート」にも、「脳卒中発症後の回復の『経過』は、発症後の数週間は改善率が高く、その後なだらかな 回復を経て、発症後6ヵ月までに横ばいとなります。」とバッチリ書かれています。

けれども、発症から約1年半たった今でも、私はさらなる回復をあきらめていないし、実際に回復し続けています。

当初の目標は、「杖と装具を使って一人で出かけるようになること」でしたが、今では杖も装具も使っていません。手は「グーとパーがなんとかできて、料理のときにちょっと食材を押さえられるようになるといいな」と思っていましたが、現在は右手で包丁を持って調理をしています。

「脳卒中闘病記」で伝えたかったのは、回復のリアルと退院後の日常【48歳ワーママ闘病記】_img0
娘のお弁当シリーズ。しょうが焼きのしょうがをおろすのも、だし巻き玉子を巻くのも、ずいぶん上手になってきた。次の目標は「桃やりんごの皮を、右手に包丁を持ってむくこと」
「脳卒中闘病記」で伝えたかったのは、回復のリアルと退院後の日常【48歳ワーママ闘病記】_img1
熱烈なヤクルトファンの息子と神宮へ。スタンドの階段を、ゆっくりながら上り下りできるようになるとは

もちろん、いまだに右手で字を書くのはひと苦労だし、お箸もまだまだ。パソコンの両手ブラインドなんて夢のまた夢です。脚だって、青信号が点滅したらどうしたって渡れません(悲)。

 

あまりにも思うように動いてくれない右手右脚に、「もう、このままなのかな」とあきらめかけたこともあります。そんなとき、ある理学療法士さんが「あきらめたら、終わりです。それ以上回復することはないでしょう」と断言している動画を見て、ハッとしました。

そうか、私があきらめてしまったら、もう二度と右手メインで生活をする日はこないのか、と愕然としたのです。