環境要因、人的要因……冬場の感染流行の理由には、様々な仮説がある


山田:たとえば、冬場は外が寒いため、同じ人口でもより室内に密集しやすい傾向がありますよね。夏場であれば窓を開けて換気をしているはずが、冬は寒いので窓も閉め切り、暖房をつけて人が集まります。
こうした環境下においては、その中の1人がウイルスを持っていれば、夏場と比較して飛沫感染が起こりやすいですよね。こうした環境の違いが、冬場に飛沫感染でウイルスが広がる理由として考えられています。

 

編集:やはり寒くても、タイミングを見つけて部屋の換気を意識したいと思います。

山田:また、必ずしも現実世界を反映しているかは不明ですが、気温が低い冬は、物に付着したウイルスなどが長く残存しやすい、とも言われています。
感染しうるウイルスが残っている量が多ければ、それだけ接触を通して鼻や口の粘膜に持ち込まれ、感染しやすいですよね。

編集:たしかに。

山田:あるいは、人側の問題もあるのでは、と言われています。冬、気温が低い時は、粘膜レベルで免疫の力が十分発揮されない、という仮説もあります。
環境要因・人的要因ともに様々な仮説がありますが、そのどれもが断定のできる真実かは分かっていません。ですが、おそらくそうした事柄の組み合わせで、冬は感染症にかかりやすい、と言われているのだろうと思います。

編集:そもそも「風邪」が医学用語で「感冒症候群」と呼ばれているのも知りませんでした。また、原因を特定しない病気、というのも新たな発見でした。

山田:身近な病気でありながら、意外とご存知ないことも多いですよね。

編集:解説いただいた冬に感染症が多くなる理由は、仮説であるかもしれませんが、どれも納得できる内容でした。引き続き、基本の感染対策を日常生活で意識したいと思います。ありがとうございました!

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構成/新里百合子
 

 

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