「長生き」との関連を証明するためのハードルは高い


山田:「断食をすれば長生きできる」と言われる根拠の多くが、マウスを使った研究です。マウスの寿命は3年程度なので、その程度であれば追跡可能ですよね。ただ、やはりここで注意しなくてはいけないのは、マウスと人間は別の生き物だという、当たり前の事実です。マウスで証明されたことが、人間では全く別の結果になることもあります。
マウスでの研究について書かれているということはすなわち、「人間では証明されていないのだな」と理解をしていただくことが、大事なポイントなのではないでしょうか。

 

編集:なるほど! マウスでの研究結果を、すぐに自分に当てはめようとしないようにします。

山田:余命の研究といえば、断食の研究ではないのですが、最近発表された、マウスではなく人が参加した研究をご紹介しますね。これは、習慣的に飲む飲み物による、余命の違いを調べた研究です。

編集:飲み物ですか。

山田:はい。参加者を「緑茶を飲む人」「コーヒーを飲む人」「甘い飲み物を飲む人」に分け、それぞれが習慣的に飲む飲み物が、余命にどう影響するのかを見た研究です。といっても、長期間かけて余命を追跡したわけではなく、被験者の血液を採取し、染色体の末端にある「テロメア」という構造部分の長さを観察したのです。
実は、この「テロメア」の長さが短いほど余命が短くなる、という関連が知られているのです。この長さで余命を見ることはできないか、と韓国で行われた研究です。

編集:気になります! 結果はどうだったのでしょうか?