ジェンダーの固定概念が招くさまざまなトラブル

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早い場合は10歳くらいから、男子のジェンダー概念は男性優位・攻撃性・性の軽視に向かい始め、女子は性的な魅力を重視し始めます。調査によると、男子が抱く固定観念が強固であるほど、女子の前で性的な言葉やジョークを口にしたり、ナンパをしたりする傾向があるそうです。

 

非営利団体プラン・インターナショナルが2018年、アメリカ国内の青年千人以上を対象におこなった調査では、子どもの頃トラックや銃などの「男の子向け」おもちゃばかりで遊んでいた男子は、女子の思想や性格よりも身体的な特徴を重視し、「仕事・政治・生活におけるリーダーは男女半々であるべき」という考えに否定的である傾向がありました。おもちゃ自体が性差別を加速させるというよりは、さまざまな面(親が与えるおもちゃを含む)でジェンダーの固定観念が強調される家庭で育つと、性差別的な考えが身につく危険性が高まるのでしょう。

調査結果の説明では、「男子は明らかに、特定の言動(心身ともにたくましく、弱い部分を見せず、性に興味を示す)が“男らしい”のだ、というプレッシャーを感じています。また、『女子は能力や知性よりも身体的な特徴や性的な魅力によって評価されるべきだ』というメッセージを受け取っている点では、女子と同じです」と表現されています。調査対象となった女子の55%が、「男子が性的な言葉やジョークを口にするのを、少なくとも週に数回は聞く」と答えました。

この傾向は大人になっても変わりません。「男らしさ」の観念が強い男性はそうでない男性に比べて、セクシャル・ハラスメントや性的暴行をする傾向があります。この理由について、専門家は2015年に発表した論文でこう述べています。「彼らは支配的地位を維持するために、パートナーに対して性的に強引かつ(または)威圧的であるべきだと考えます」。

ジェンダーの面において不平等で差別的な今日の社会は、こうしてできあがっているわけです。けれども、解決策を示す研究結果も出始めています。では、解決に必要なものは何でしょうか? ――それが、親の力なのです。