「男らしさ」が引き起こす数々のトラブル

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息子への性教育は特に難しく、重要でもあります。「男らしさ」や「セックス」について、世の中が男子に強力な(ときに危険な)メッセージを送るからです。2018年の全国調査では、男子の72%が「たくましくあれ」とのプレッシャーを感じており3人に1人が「『悲しみや恐怖の感情を抑えるべき』という社会の期待を感じる」と答えました。また、14~19歳の男子のうち、異性愛者の40%が「女子とセックスをすべき」とのプレッシャーを感じており、同年代の男子の32%が、「他の男子が性的な話をしているときに『輪に加わるべき』とのプレッシャーを感じる」と答えました。なお、この年代の男子の半数近くが、父親などの男性家族が女性に対する性的発言や性的ジョークを言うのを耳にした経験がありました。メディアにも危険なメッセージが含まれています。

 

毎年、男子高校生や大学生のグループ(ある種の“らしさ”をよしとするスポーツチームやサークルなど)による女性蔑視事件が報道されます。メディアに取り上げられない同様の事件は、数多く存在するでしょう。事件を起こした男子学生の大半が、事件さえ起こさなければ「頭のよい好青年」に属する人物です。もう少し分別がありさえすれば……と思わずにはいられません。

2016年、ハーバード大学の男子サッカー部が、女子サッカー部の新入部員の“セクシー度”をランクづけしていたとの報道がありました。2012年から毎年おこなっていたそうです。コロンビア大学では、男子レスリングチームの学生が女子学生に対し、「つきあいの悪いブス女」と発言しました。アマースト大学では、男子クロスカントリー部の学生が、8人の女性の写真とセックス歴の噂をメールで回しあっていました。

多くのケースで、加害者は「ふざけていただけ」と弁明しています。ジャーナリストのペギー・オレンスタイン氏は著書『Boys & Sex(男子学生と性)』において、「セクシャル・ハラスメント行為を『ふざけていただけ』と言うには、無害でなければならない」と論じ、加害者グループは「被害者の女性の人間性を蔑ろにしており、その行為は到底、無害とは言えない」と述べています。