数合わせで女性を登用するのではなく実力で選ぶ、という発言の意味するところは……


彼らは、自分に女性が見えていないこと、見ようとしていないことを問題だと思っていません。女は仲間に入れたくないという本音を変えようとはしないのです。女性に目を向けよと指摘されると、こう言います。「だったら俺たちの視界に入るところまで、女が頑張って辿り着きなよ」。数合わせで女性を登用したって、どうせ実力不足だろうという物言いも定番です。2020年には、経団連の副会長がクオータ制の導入にあっさり後ろむきな発言をしています。これが、男性だらけの世界の住人が口にする「性別関係なく選ぶ」という言葉の実態です。

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目に映ったヒトのうち男性しか認識できないという極めて深刻な認知の歪みを根本から変えない限り、日本の男村状態は変わりません。「性別関係なく」決めるのではなく、「性別はうんと関係ある」と肝に銘じるのです。必要なのは、今まで透明な存在だった女性たちに注目するという、劇的な行動変容なのですから。

 

明確な意志を持って「女性を増やす」こと。最低でも、意思決定に影響を与える3割を女性に。クオータ制を導入するなどして、早期の5割実現を。今ほぼゼロなのに無理〜〜とか言わないで、やるったらやるんです。戦後の奇跡の復興と同じ覚悟と気合いでやるんです。

「さあさあどなたもいらっしゃい、今後は僕が性別関係なく選んであげます!」と両手を広げる男性に、丸め込まれてはいけません。そんなアピールには「ほほう、現状を変える気はないんだな」と座礁資産のマークをつけておく。そしてもし発言するチャンスがあるなら、光の速さで「いや、性別関係あります、ありまくりです!」と返しましょう。女性を可視化するのだと。

男だらけの会議や委員会はいくらでもあります。何度でも、どこに行っても隙あらば言い続ける。女性は透明な存在じゃない。単なる男性のお世話係でも、愛玩物や鑑賞物でもない。子を産む機械でもない。この社会を作っている一人の人間、働き手、意思決定者として、等しく扱われるべき存在なのだと。そうじゃないと、おじいさんが抜けた後にまたおじいさんが出てくる、イケイケ勝ち組男性の次にまたイケイケ勝ち組男性が出てくる……というサメの歯みたいな男村人事は、永遠に変わりません。

あ! これやるの、女性だけじゃないですよ。うんそうそうとか言いながら読んでいるあなた、そう男性のあなた! あなたも一緒に、男村ニッポンを開国するんです。職場の定例会議で女性たちがいつも端っこに座っているのをおかしいと思ったことがないなら、まずはそこからです。