現地の小学校の先生に息子は英語の習得がほかの子に比べて遅い、と言われて……

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最初に、渡航5ヶ月で息子の英語が成長したと書きましたが、それは先生と話したり、友達と遊んだりする場合のみ。アカデミックな、勉強面で必要とされる英語だとまったく別の話。

ポジティブで、いい意味で“鈍感力”があり、コミュニケーション能力が高いタイプの息子の性格が幸いして、お互いに“ベストフレンド”と言い合える友達もすでにいるほど学校生活は楽しんでいるのは本当によかったとひと安心していますが……準備をほぼしてこなかった我が家の場合、勉強としての英語には苦戦をしているのが現状です。もし、勉強にもついていけない、そのうえ学校にも馴染めないとなっていたら、渡航して早々に日本への帰国を考えなければならなかった可能性もあります。

なお、英語での算数の授業に苦戦し、悲しい思いをした体験談は、こちらの記事をぜひ読んでみてください。これには後日談もあります。

「日本の算数は海外より進んでいる」を信じて、準備せず留学した小学生親子の悲惨な現実>>

 

あるとき、算数の先生(担任の先生とは違う)から電話がかかってきました。英語で書かれた算数の問題文が理解できなくて、先生が教えてくれても、それもまた英語なので理解できず、算数の授業自体に完全にやる気を無くしている時期があったのです。電話でそんな話をしている最中に、「○○(息子の名前)はほかの留学生と比べて、英語の習得が遅い」と先生から言われたのです。

この点は悲しいかな、開き直るしかありませんが、それは事実でしょう。
ほかの熱心な留学生たちは、小学生といえども、インターナショナルスクール出身だったり、英検を受験していたりと、“小学校の英語の授業だけで英語を学んでいる子供”とは別格だからです。先にも書いたとおり、日本で英語の準備をしていないと、いくら現地でELLの先生が英語を教えてくれても、読み書きは急成長しません。

ただ、息子が最近、ELLの授業を楽しく感じているようで、「英語がわかるようになるのが楽しくなってきた」と言っていたばかりだったので、先生のこの発言にはとても悲しくなりました。
 

親は英語が流暢でなくても、自分の考えと意見はしっかりと伝えることが必要

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そんなときに求められるのが、親の英語力です。
習得が遅いと言われて、「はい、そうですか。それはすみません」では、一向に解決しません。

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私は先生に電話で伝えるとともに、自分の英語力では伝わりきれてない可能性があるかもしれないと、メールも送りました。

・息子が学校が楽しいと言っており、素敵な友達、先生に出会えたことの感謝
・海外留学は急に決めたことなので、成長が遅いとしたら、本人のせいではなく、私の責任であること
・ゆっくりかもしれないけれど、5ヵ月前に来た頃よりも目に見えて英語が成長していること
・英語で友達と遊ぶことはできるし、野球もできて、楽しく過ごしていること
・最近、英語を学ぶのが楽しくなったと言っていること
・自宅で私もしっかりとフォローしていくこと
・本人が分からないことがあった場合、聞いても分からないと諦めずに、先生に聞くようにする、その際に何度も先生に聞くかもしれないが、申し訳ないけれど、それに付き合って欲しいこと

それ以来、息子に対する先生の対応の仕方も少し変わったようで、息子も以前よりスムーズにコミュニケーションが取れるようになったようです。

息子ほど英語漬けの環境にいない私は、以前よりも聞き取りができるようになったとか、電話が苦手じゃなくなってきたなどの変化はあるものの、一向にペラペラにはなっていません。ただ、渡航後半年経って大きく成長したのは、英語力ではなく“度胸”です。何をするにも英語で対応することしかできない状況に置かれたことで、意識は確実に変わりました。

親が現地で働いたり、学校に通っていない場合、英語が流暢でなくても、生活することはできますが、黙ったままではいないも同然。“言わないでも察してもらえる”なんてことはないので、意思表示をしっかりとできるよう、私も英語をブラッシュアップさせなければなりません。

 

構成・文/高橋香奈子

 

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