意見の衝突も含めてすべてが「コミュニケーション」

「志麻も私も、食事が大事。これは一緒だからよかった」とロマンさん。朝食でフレンチトーストをよく作るそう。

志麻 「怒って、怒られて、終わり」だと後味が悪いけれど、私たちはその後も会話が続くからいいのかもしれないね。「どうして怒るのか」という理由や背景まで話すことができたら、お互いをより深く理解することができるはず。

「怒り」を夫婦の間でもっと出し合っていいんだという気づきも、ロマンが与えてくれたもの。「怒ることは、2人の関係にとって決してネガティブなことじゃない」と腑に落ちたから、私はパートナーに対して怒ることが怖くなくなった。「嫌われるのが怖くて、怒るのを我慢する」ということがなくなったんだよね。それってすごく大きな変化だった。

 

ロマン 人生を豊かにするのは、愛する人との会話。なんでも会話のきっかけだと思って、そこから話を始めたらいい。するともっと理解できて、もっと好きになれる。

志麻 そうだね。もしもその結果、意見が合わなかったとしても、「これに関しては、意見が合わなかったね」と受け止めればいいんだよね。無理に合意する必要はないし、いくら仲がいい夫婦でも、他人同士なんだから意見が違うのは当たり前。自分の思っていること、相手の思っていることを出し合えただけで上出来だと思えばいいんだって。

ロマン そのとおり。だから、意見がぶつかったとしても、5分後にはまたふざけて笑ってる。

志麻 フランス人の家庭もそんな感じだよね。家族団らんの時間に、いきなり口論が始まってハラハラしていたら、次の瞬間には、もうテレビを観て一緒に爆笑してる。慣れないうちは「さっきのはなんだったの?」と不思議だったけれど、フランス人は、意見の衝突も含めてすべてが「コミュニケーション」だし、相手を理解するための会話だと捉えているんだよね。

ロマン そう。ケンカしたり、笑ったり、忙しいよ(笑)。

志麻 でもそんなにぎやかな家族関係のほうが私は好きだし、私もそうなりたいなって思ってる。