花粉症の薬、選ぶときのポイント。気になる副作用。


山田:そうですね。基本的には、治療を重ねていくことになります。眠気の出にくい抗ヒスタミン薬の飲み薬に、鼻のスプレー、そして目薬を加え、日常生活においてはメガネやマスクで花粉を避ける……という方法が一般的ですね。

ちなみに市販の飲み薬の場合、「運転を控えてください」と書かれているものは比較的眠気が強く出やすいものなので、運転だけでなく、昼間に使う場合や高齢者が使う場合にも注意が必要です。

 

編集:ちなみに、眠気以外の副作用がある飲み薬はありますか?

山田:たとえば、いわゆる抗ヒスタミン薬に加え、Pseudoephedrine(日本語名:プソイドエフェドリン)と呼ばれる成分が入っている薬もあります。こうした薬は、血管を締めて鼻の分泌物を減らす、という発想の薬なのですが、高血圧がある方は高血圧を悪化させる恐れがあります。効果もありますが、長期間飲まなくてはいけないときには、注意が必要ですね。

編集:副作用にも色々あるのですね。やはり専門の先生に診ていただいて、お薬を処方していただくのがよさそうですね。

山田:おっしゃる通りです。一般的な治療で効果がない場合、より専門的な知識が必要になりますので、医療機関でしっかりとアドバイスを受けていただくことが大切です。

また、舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)という、アレルギー反応を弱める減感作療法もあります。花粉症の時期には開始できないのですが、専門医と相談の上、来年以降への準備として考えてもよいかもしれません。

編集:花粉症が辛く、飲んでいる薬の効果を感じない場合でも、すぐに新しい薬を試すのではなく、きちんと医師に相談する、という基本が大切なのですね。今日は花粉症の薬の基本や日米の治療方針の違いなどについても、とても勉強になりました! ありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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