全て入管の”さじ加減“で決まる。不透明な基準に翻弄される外国人
大澤:ちなみに難民申請をすると、難民申請自体は通らなくても、在留資格が与えられることがあるんです。在留資格を得られれば、働くことができるので、働きながら難民申請が通るのを待つという感じです。ところが、その後なぜか9年くらいで急に在留資格を切られてしまう方が多いんです。それで仮放免の状態になって、たちまち暮らしていけなくなった、という相談が私たちのところに来ます。
——10年働きながら日本で暮らすと永住権の申請ができるようになる可能性があるのに、10年経つ直前で在留資格を切られてしまう……。実際のところはわかりませんが、永住権を与えたくないのかなと勘ぐってしまいます。難民申請中の人が在留資格を急に切られるということがあると言っていましたが、どれくらい急に切られるのでしょうか。
大澤:在留資格というのは更新手続きが必要なのですが、更新しようとしたら突然できないと言われるという感じです。
——では備えることも難しいですよね。
大澤:仮放免になるのも急なのですが、収容も同様です。仮放免の方で持病のある方がいて、病院に付き添う予定でした。でも待ち合わせの時間になっても現れなかった。あとから他の人から聞いたら、仮放免の更新に行ってそのまま収容されてしまったと。
——逮捕みたいな感じですね。いきなり連れていかれる、というのに近い。
大澤:何も準備ができないままです。家のことも出来ず、着の身着のままです。
——在留資格を与えるかどうかはどのように決まっているんでしょうか。
大澤:法務省の管轄の中に「出入国在留管理庁」いわゆる「入管」はあります。在留資格を与えるか与えないかを決めているのはこの入管です。
現状は、明確な条件に基づいて資格を適正に与えるという風になっていません。“建前”としては入管法に基づいてはいるんです。しかし、難民の申請だけでなく、仮放免になるのかどうか、収容中の処遇はどうなるかなども、細かい部分は入管職員のさじ加減次第なのが実情です。判断の基準が人によってバラバラで全然一致していないんです。入管の一番の問題点はそこで、基準がわからないということ。この人は難民認定が通るのに別の人は通らない、ということがよくあるんです。境遇は同じケースなのに全然対応が違う、とか。難民申請は見えないゴールに向かってひたすら走っている感じです。基準を明確にして欲しいですね。
——難民の認定は、裁判所のようなオープンで中立な機関が介入しないため、不透明な部分も多いんですね。
大澤:認定にはこういう条件がある、と全部明示すれば、一般の人がその条件について「おかしくないか」という議論をできる。その議論はやっていかないといけないと思うんです。反論があるのは確実なので認定条件は明らかにされず、ブラックボックスになってしまっている。難民認定を入管が決めること自体、変えていかないといけないと思います。
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