ーー加藤さんにとっての「おもろいこと」とは?

自分じゃない人をやりたいですよね。僕が日本食のシェフだったとしたら、中華やフレンチ、イタリアンやベトナム料理も作ってみることで、自分の作る料理にオリジナリティが出来てくるんじゃないかなと。日本料理の大家になるよりも、創作料理を作りたい。だからいろんなことをやりたいなと。今回の平兵衛なんて、結構おもろかったです。もっといろいろやってもよかったなあ。(出来上がった映画を観て)反省したのは、髪の毛がもっと長い方が良かったんじゃないのって。

ーー地毛でしたか?

地毛でした。だから(エクステをして)ポニーテールでくくれるぐらいにしたほうが面白かったなという感じはします。完全にホームレスなので。首からぶら下げている御守りみたいなものも、スタッフが面白がっていろいろ仕込んでくれてるんですよ。全然映ってないのに。そういうのもおもろいですよね。

“イケオジ俳優”加藤雅也、60歳の抱負「今は60代の新人。69歳になったときに、60代の表現はできたと思いたい」_img5

 

ーー役の幅が毎回毎回予想外の方向に広がっています。 

広げていって、まあ、観てくださってる人は少ないんだろうけど、少しでも楽しんでもらえてたらいいですね。昔は、小さい映画に出ても効果的ではなかったけど、最近はNetflixなんかで過去の作品を観てもらう機会が増えてきたなと思います。

 

変態ストーカーみたいな役(『銃2020』武正晴監督)で、意味がわからないセリフがあるんですよ。バコーン! と蹴られた後に、「ああ、富士山が見える」とか。プロデューサーの奥山和由さんが「お前なあ」とか言ってゲラゲラ笑ってたんで、「あんたが作ったんでしょう(笑)」と言い返したり。そういうわけのわからないことをどう表現するかもまたおもろかったりしますよね。

「この人、またなんかやるんかな」と思われる俳優になりたいなっていうのが元々あってね。三(の線)をどう入れていくかっていうことをよく考えています。二(の線)でやってくれと言われたら、完全に二でやりますけど。

ーーいわゆる「イケメン俳優」といわれる顔立ちの美しい若手俳優が、演技や役の幅を広げるために自分をどう汚すかは、みなさん悩みどころのようです。

二枚目でいける人は、30代くらいまではそのままでいいと思います。新品のフェラーリをバンバン打ち替えてトラックにしても、本物のトラックには敵わないですから。フェラーリもずっと走っていればだんだん劣化してボロボロになって、壊れた頃に味が出てきますよ。

ーー加藤さんが言うと説得力があります……! 今はどんな課題を持ってお芝居をしていますか?

今のテーマは、演技に“じい様”をどう入れるか。無理に声や体を震わせるのはイタいので、初老っぽさをどう出すか。今は60代の新人だから、69歳になったときに、「60代の表現はできたな」と思えたらなと。70代になったら、いよいよ本当のジジイをどう演じるのか、逆に70代のアクションのやり方を考えるかもしれない。“老人”をどう表現するのかを、考えていきたいですね。

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加藤雅也 Masaya Kato
1963年生まれ、奈良県出身。創刊当初の「メンズノンノ」やパリコレクションのランウェイなどでモデルとして活躍後、88年『マリリンに逢いたい』(すずきじゅんいち監督)で俳優デビュー。95年からは活動拠点をロサンゼルスに移し、海外作品に多数出演。現在は日本を拠点に俳優、モデル、ラジオDJ、写真家として多方面で活躍。2023年は、金田一京助を演じた『カムイのうた』(今秋完成予定/菅原浩志監督)の公開も控えている。

 

<作品紹介>
『1秒先の彼』

監督:山下敦弘
脚本:宮藤官九郎 
出演:岡田将生 清原果耶
福室莉音 片山友希 しみけん 笑福亭笑瓶 松本妃代 伊勢志摩 柊木陽太 加藤柚凪 朝井大智 山内圭哉
羽野晶紀 加藤雅也 荒川良々
©2023『1秒先の彼』製作委員会

7月7日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー


撮影/赤松洋太
ヘアメイク/最知明日香
取材・文/須永貴子
構成/山崎 恵
 

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