エクオールを作れる腸内細菌の有無は遺伝が関係あり? 

更年期に起こる症状は、母娘で遺伝する...?症状が重い人に見られる3つの特徴【高尾美穂先生】_img0
 

③ある腸内細菌を持っているかどうか

「最後は、腸内細菌の問題です。

これは、更年期症状の治療法にもつながるのですが、大豆イソフラボンを摂取することで不調が軽くなるということは、30年ほど前から知られていました。

それは、大豆イソフラボンが直接作用するというよりは、大豆イソフラボンが腸内で代謝して作られるエクオールという成分が女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをしてくれるからです。

しかし、エクオールを作れる腸内細菌を持つ人は、日本人女性の中で約2人に1人と言われていて、その人は更年期の不調が軽いことが報告されています。

この腸内細菌の有無に関しては、遺伝する可能性があると考えられます」

 

大豆イソフラボンを積極的に取っていても、エクオールが作れないタイプの女性は更年期の不調が重いことが分かっています。この腸内細菌を持つかどうかは、小さい頃からの食生活に関わってくると高尾先生は話します。

「エクオールを作れる腸内細菌を持っているかどうか。それはもともとの体質ではなく、腸内環境の問題です。

年齢を重ねてから大きく腸内環境を変えるのは難しいとされています。腸内環境とは、生まれてから成長してきた間に食べてきたもので、大体の体質のパターンが作られます。

そのため、同じようなものを食べて育ってきた母娘の体質は、似ている要素が大きいわけです」

エクオールが生成できない体質の女性は、大豆製品を多く摂取してもエクオールの効果は期待できません。その場合はサプリメントで直接エクオールを摂取することで補うことができます。

「母親の更年期症状が重かったとしても、あまり悲観しすぎないこと。更年期前の女性たちが更年期を恐れているのは、正しい情報を持っていないからだと思っています。

母親たちの時代とは異なり、今は治療法も確立されてきています。不安に思うならば、まずは更年期に女性の身体に何が起こるのかを知ること。

そして、更年期以降の人生に備えて、今から生活習慣を変えることが大切です。仕事に追われて睡眠時間が短かったり、過剰なストレスを溜めていたり、食生活が乱れている。そんな生活をしていては、年齢を重ねてからの体調がいいはずはありません。

10年後、20年後の自分を作るのは、今の自分の選択です」
 

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高尾 美穂(Miho Takao)
イーク表参道副院長。産婦人科医。医学博士。婦人科スポーツドクター。ヨガ指導者。働く女性の産業医。婦人科の診療を通して女性の健康をサポートし、 女性のライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポートする。アプリstand.fmで毎日更新される番組『高尾美穂からのリアルボイス』では、体や心の悩みから人生相談までリスナーの多様な悩みに回答。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)などがある。


イラスト/Shutterstock
取材・文/千葉泰江
構成/宮島麻衣
 

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