【叱り方のポイント③】近づいて、子どもと目線を合わせる
子どもは、「聞こえないふりをする天才」だと時々思ったりもしますが、どうやら子どもは、遠くから話しかけられると、自分に話しかけられていると思わないようです。ですから、「伝え方」の工夫をすると、伝わりやすくなることがあります。
親にとって朝は特に忙しいですから、先ほどのゆうすけくんのお母さんのように、「遠くから、長々と、漠然と」伝えてしまうこともしばしばです。キッチンで洗い物をしながら「何やってるの、そんなことしてると遅れちゃうでしょ、何回言えばわかるの?」というような伝え方です。
そうすると、子どもは「聞こえないふり」をしているように見えます。しかし実は、単に「伝わっていない」のです。
せっかく忙しい中で伝えるのですから、ほんの少し手を止めて、近づいて、子どもの目を見て伝えてみましょう。
ちなみに、目を見るというのは、子どもの視野に入るということです。子どもは大人が思う以上に視野が狭いですから、視野に入って目線を合わせるとよいでしょう。
著者プロフィール
山下 直樹(やました なおき)さん
名古屋短期大学保育科教授、保育カウンセラー、臨床心理士、公認心理師。1971年名古屋生まれ。東京学芸大学教育学部障害児教育学科を卒業後、シュタイナーの治療教育を学ぶために渡欧。帰国後は児童相談所など障がい児福祉の現場で障がいのある子どもと保護者の支援に携わる。その後臨床心理学を大学院で修め、保育カウンセラー・スクールカウンセラーとして保育現場・教育現場での経験を重ねてきた。現在は名古屋短期大学保育科教授として、保育学生にカウンセリングなどを教えている。保育現場を大切にしており、保育園や子育て支援センターでの保育カウンセリングを継続している。保育現場でのカウンセリングは年に100回を超え、1年間に出会う子どもは1000人以上にのぼる。
『子どもの自信が育つほめ方・叱り方』
著者:山下直樹 日本能率協会マネジメントセンター 1760円(税込)
子どもの発達と心理の専門家であり、保育カウンセラーとしてたくさんのママたちや教育関係者のリアルな悩みに向き合ってきた著者が、ママ自身や子どもの性格をとらえたうえで、子どものほめ方・叱り方を具体的に紹介します。巷にあふれる様々な子育て情報に翻弄され、我が子への接し方に困っている親御さんの支えとなってくれる一冊です。
写真:Shutterstock
構成/さくま健太
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