ここからは資格ソムリエの林雄次さんに、一般事務のスキルや経験を生かした「かけ算」を考えていただきます。
自身の知識欲から在学中より資格取得に励む。大学卒業後は大手企業にてITエンジニアに。在職中に取得した社労士資格をもとに、エンジニア経験をかけ合わせることで、IT社労士として独立。現在では中小企業診断士など400を超える保有資格を活かし、資格の活かし方やブランディングについてアドバイスを行う『資格ソムリエ』として活動中。Webメディアで資格に関する記事を連載中のほか、ビジネス誌などでも多数取材を受けており、ライフキャリアに沿った資格取得のアドバイスは好評。最近取得した資格はアロマテラピー検定1級。
今回はIT領域の職種から士業、オンライン完結でフリーランスとしても仕事ができそうな職種まで、全部で8個の「かけ算」を考えてみました。一般事務の経験やスキルは、考え方次第でさまざまな領域に応用できます。今回の記事を参考に、ぜひご自身らしいかけ算を考えてみていただけたら幸いです。
<かけ算1>
一般事務 × プロジェクト管理 = PMO(IT等のプロジェクト運営支援)
まずは、一般事務の経験やスキルが活きるIT関係の仕事をご紹介。一般事務で培ったコミュニケーション力や調整力に着目すると、企業・組織で行われているプロジェクトの品質向上や進捗管理を後方から支援する「PMO(Project Management Office)」のキャリアを描くことが可能です。
PMOはIT業界の企業だけでなく、建設業界やコンサルティング業界の企業でも専門部署が設置されていることがあります。PMOとして経験を積んでいけば、今後のキャリアの選択肢を広げることもできそうです。
PMOになるためには、プロジェクト管理に関する知識が必要です。知識を身に着けるなら、まずは『PMOスペシャリスト』を活用すると良いでしょう。オンラインで学べるため、学習に取りかかるハードルも低いですし、学びを深めることで、現在の業務の進め方を見直すきっかけになるかもしれません。
<かけ算2>
一般事務 × RPAの知識 = RPAエンジニア
一般事務に従事していると、さまざまな仕事の流れを把握する機会が多いと思います。そのような経験はひとつの強み。この強みをIT領域のスキルと掛け合わせることで、仕事を自動化する「RPA」というシステムを扱う「RPAエンジニア」を目指すことが可能です。
RPAエンジニアが担うのは、作業を自動化するためのシナリオづくり。人の手で行っていた仕事の内容やフローを把握し、RPAに実行してほしい業務の流れをまとめていきます。「エンジニア」という言葉はつくものの、プログラミングコードを読み書きできる必要はありません。ローコードツールという可能な限りソースコードを書かずに済むよう開発されたツールを活用して、必要なシステムをつくることが可能なため、基本的なパソコン操作ができれば、あとはツールの機能やツールを用いたシナリオ作成の知識を学ぶだけでOKです。事務経験を活かしたリスキリングのひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、もし資格の取得を目指すなら、各RPAツールにスキルを証明するための資格があるため、そういったものを学んでみると良いかもしれません。例えば『RPA技術者検定アソシエイト』は、国産RPAツール「WinActor」の基本的なスキルを証明できる資格。製品に関する問題が中心ですが、RPAの利用者ならば知っておくべきスキルも問われる試験です。
<プロフィール>
林雄次(はやし・ゆうじ)
資格ソムリエ®