ついに対面!3人がそれぞれの場所、それぞれの意見を持って子どもの未来を明るくするため始動します
メキシコとの時差を鑑みつつ、3人が画面越しに集いました。仕事でオンラインミーティングをやることには慣れていますが、はじめましての住田さん、そして熱いメールを交わしたもののサシでトークするのは初めての亜美ちゃん。ちょっとドキドキしながら画面を開きます。
住田さんは私の想像よりもはるかに若い男性でした。(後々伺ったら、なんと私より10歳近く年下でした。なんて立派な若者なんだ……!)そして非常に朴訥としていて控えめな方で、言い方は悪いですが自らNPO法人を立ち上げて大規模のイベントを仕切ったり、子どもに対峙しているような方には見受けられませんでした。
まだご結婚したばかりでお子さんもいないとのこと。「住田さん、なんで子ども向けの事業をはじめられたんですか? 子どもがお好きなんですか?」思わずそう尋ねてしまいました。
すると思いがけない回答が……。実は高校生の時に病気に罹り、手術をされたことがあると。医者は簡単な手術と言うけれど、合併症などリスクの説明を受け、同意書を手渡された時に、生まれて初めて「自分の死」を意識したのだそうです。自分の人生がここで終わってしまうのかもしれない……そう感じた時に自分にはもっともっとやりたいことがあった! と気付いたと言います。
「……僕、日本のモノづくりに興味があったんです」。え? 教育ではなく……!?
住田さんはその後、国立大の工学部に進み、工業機械を扱う商社でインターンをはじめたそうです。色々な人と協力してものづくりの経験を積んでいくなかで、ある日インターン先の社長から「ものづくりは人づくりから」と教えられたと言います。人間の成長なくしてものづくりはあり得ない、と。
その後、ボランティアで子どもと接する機会があり、彼らの柔軟で面白い発想に触れ、それらをかたちにしていく手伝いをすることに興味を抱きます。また自身の悔いなく生き抜きたいと強く思った経験から、日本の若者の自殺率の高さを食い止めることや、貧困や様々な理由からやりたいことを諦めてしまう子どもを少しでも減らすことをライフワークにしたいと考え、現在に至ったのだそうです。
すると亜美ちゃんが「コミュニティで子育てをすることってとても良いことだなってメキシコに渡ってから知りました」と。亜美ちゃんの住むメキシコの治安は決して良くはないと言います。それ故に様々な問題を抱えた家庭が多いのです。
でも周りの人が手を貸し合う文化が根付いているから、お母さんがいなくても親戚のお兄ちゃんが手伝ってくれる、3軒先のよそのおばさんがご飯を分けてくれる、そんなスタイルで皆がメンタルもフィジカルも支え合って暮らしているのだと。だから問題を抱えた子どもたちも自滅的にならずに生きていけると言います。
私のように自分に子どもが出来たから自分ごととして子どものことに目が行くようになる人は多いと思います。でもそうではない住田さんや亜美ちゃんみたいなお兄さん、お姉さんが自分たちに積極的に関わろうとしてくれること自体が、子どもたちにとって喜ばしいことだなぁと思いました。こうして三者がそれぞれの場所で、それぞれの意思を持って、子どもの未来を明るくする手助けをしたいという一つの目標に向かって始動しました。
(プロジェクトの行方は? 三度の飯より金儲けが好きな餡蜜さん、無償でプロボノをやる意義は見出せたのか? 次回、いよいよ最終回!)
次回は12月2日公開予定です。
文・写真/餡蜜桃子
イラスト/神田亜美
構成/露木桃子
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