お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。

スリランカとアフリカ。まだ珍しい料理だけれど、近年は少しずつ、専門店ができてきて、特にスリランカ料理は、にわかにブームの兆し。そこで、かの地に惚れこみ小さな店を開いた、愛すべき日本人店主の異国情緒溢れる2軒を。大型連休を前に旅に誘いざなってくれます。


コンゴ音楽に身を委ね、旨いアフリカ料理に舌鼓
熱帯音楽酒場 ロス バルバドス

プーレ・ヤッサはクスクス付きで¥1350。鶏肉をレモンに漬けて煮込んだカメルーン料理。好みで自家製の唐辛子ペースト、ピリピリを。

楽しい。とにかく楽しい。パリの移民街にある居酒屋を思わせる店内に足を踏み入れると、そこはコンゴ音楽が流れるアフリカンワールド。黒板には、カメルーン、セネガルなど各国の料理がぎっしり並び、メニュー選びが悩ましい。店主は、コンゴ音楽のミュージシャンだった上川大助さん。演奏で回ったアフリカを中心に、中東、カリブに至る料理を、自らの舌とレシピ本を頼りに作っている。ほのかに甘い香りがするパーム油やピーナッツバターを使ったセネガルの煮込み、主食のフフなど、どれも未知に近い料理なのに、滋味深い味わいで手が止まらない。実は上川さん、元は料理人。食材にこだわり、辛いペーストまで手作りというから、旨さも納得。

セネガル風黒目豆のサラダ¥450(Sサイズ)。アフリカ料理には欠かせないという黒目豆をヴィネグレットで。
思わず目が留まるセンス抜群の看板。
席はカウンターのみ。ベースやレコードジャケットなどもディスプレイ。

【熱帯音楽酒場 ロス バルバドス】
東京都渋谷区宇田川町41-26 パピエビル1F tel.03-3496-7157 営業時間12:00~14:30LO、18:00~21:30LO(土12:00~21:00CL) 休日:日 カウンター8席 ランチは本日のスペシャルなど6種¥850。テイクアウトも可。チュニジアの大きな揚げ餃子ブリック¥850、ワインは仏の自然派でグラス¥700、フレンチ・アグリコール・ラム¥800~(すべて税込) 

一度訪れたら、リピ必至。スリランカ料理店の新星
スパイシーレストラン アチャラ・ナータ(中野)

海老カレー¥1340とココナッツと米粉を使って専用の蒸し器で作るピットゥ¥650。世界的にも評価が高いライオンスタウト¥670。

また、来たいなぁ。店を出た瞬間にそう呟く人続出のスリランカ料理店。主人は、ヨガをきっかけにインドに興味を持ち、気づけばスリランカ料理の虜になっていたという馬渕雅博さん。現地の家庭などで料理を学び、店を構えた。コリアンダーが香るミックススパイスで炒めたメカジキ、蒸し上がった瞬間からココナッツの甘い香りに包まれるライスケーキのピットゥ、鰹節に似た干し魚が入ったスリランカ版チャツネのポルサンボール。料理は、スパイシーでも、インドとは違う優しさがあって日本人の舌に驚くほど馴染む。そして何より、ひとりで店を切り盛りする馬渕さんの人柄! 料理の説明を聞きながら舌鼓を打っていると、仕事の疲れもたちまち癒される。

  • ヤシの花蜜とココナッツミルクで作るスリランカ風プリン、ワタラッパン¥460。素朴だけれど、独特のコクと甘さがヤミツキになる味。カルダモンがアクセントに。スリランカの茶葉を使ったミルクティ、キリテー¥310と。
  • トゥナパハと呼ばれるスリランカのミックススパイス炒め、メカジキタラッパ¥820。
  • カウンターの上の棚には、スリランカの食材や調理器具が並ぶ。
店内のモニターには、馬渕さんが撮影した現地の風景や料理の写真が映し出され、眺めつつ料理を楽しんでいると、スリランカに誘われます。

【スパイシーレストラン アチャラ・ナータ 】
東京都中野区中野2-27-14 丸萬ビル3F tel.03-3381-3128 営業時間11:30~14:30LO、18:00~21:00LO 休日:火 テーブル14席 昼はデザートまで盛りだくさんな、本日のランチミールス¥800。干し魚の炒め物¥1080、カトゥレット(2個)¥510、ココナッツを使ったサンボールの盛り合わせ¥620などのほか、蒸留酒ホワイトアラック¥510も。

このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「おつかれレストラン」を加筆、修正したものです。
撮影/柳原久子 取材・文/齋藤優子 構成/藤本容子